令和7年度補正予算から読み解く賃上げ・補助金・医療DXの具体論Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1エピソード96全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)「院長が悩んだら聞くラジオ」、第96回が始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。
今日のテーマは何でしょうか。

(高山)前回の続きとして、厚生労働省から発表された補正予算の具体的な内容を深掘りしていきます。

本日は賃上げ関連を中心に、2回に分けてお話しいただく予定ですね。よろしくお願いします。

(大西)お願いします。

医療・介護等支援パッケージと賃上げ支援の概要

(高山)クリニックに関係しそうな項目をピックアップしていきましょう。

大きな6つのカテゴリーのうち、「医療・介護等支援パッケージ」と「物価上昇等を踏まえた賃上げの普及・定着に向けた支援」の2つはボーナス的な要素が強いですが、詳しく解説いただけますか。

(大西)「医療・介護支援パッケージ」の目的は、物価や賃金が上昇する経済状況の変化の中で、病院やクリニックがいかに体制を維持し、生き残っていくかを支援することにあります。

全体で1兆円の予算のうち、5,341億円が賃上げと物価上昇対策に充てられます。

医療従事者の賃上げを支援し、医療サービスを円滑に実施するための提供体制を強固にすることが狙いです。

(高山)来年度の診療報酬改定の内容とも密接に関連しているようですね。

(大西)診療報酬改定とあわせて評価される仕組みになっています。

診療報酬では「賃上げを実施したらもらえるお金」が設定されていますが、今回の補正予算による支援金は「賃上げにかかる費用を先払いする」という性質のものです。

(高山)先払いボーナスのような形ですね。

(大西)実際には申請から半年後くらいの給付になるため後払いにはなりますが、補助率が10/10(100%)であるため、実質的なボーナスといえます。

医療機関が都道府県に申請し、厚生労働省で認められれば、返済不要の給付金が支給されます。

クリニックへの具体的な交付額と条件

(大西)具体的な交付額についてですが、無床の医科診療所の場合、賃金対策として15万円、物価対策として17万円、合計32万円が1回限りで支給されます。

(高山)申請すれば、どのクリニックでも32万円が受け取れるのでしょうか。

(大西)一部の自治体では「ベースアップ評価料」を算定している医療機関に限る、という条件を設けている場合があります。

ベースアップ評価料は令和6年の改定で新設されたもので、現在の算定率はクリニックで約40%、病院で約8割から9割となっています。

このように、賃上げへの取り組みを行っているところを優遇する仕組みにしている地域もあります。

(高山)賃上げによるコスト増を補填する内容ですね。

(大西)金額に物足りなさを感じる先生もいらっしゃるかもしれませんが、申請だけでもらえるものですから、ぜひ受け取っておくべきでしょう。

医療機関向けの優遇融資とICT導入支援

(大西)他にも「福祉医療機構(WAM)による優遇融資」があります。物価高騰の影響を受けた医療機関の資金繰りを支援するため、無利子・無担保の融資を行う体制に564億円が充てられています。

これにより、審査が従来よりも柔軟になる可能性があります。

(高山)ICT導入などの生産性向上に対する支援はいかがでしょうか。

(大西)1病院あたり上限8,000万円(補助率10/10)という非常に手厚いICT導入支援予算があります。

スマートフォンによるカルテ閲覧やインカムの導入などに利用可能です。基本的には病院向けですが、地域によってはクリニックまで対象を広げる可能性があるため、注目しておく価値があります。

他にも「病床削減」に対する支援もあるようですね。

新たな地域医療構想に向けて病床の適正化を図るため、1床削減につき410万円(休床中の場合は半額)が支給されます。

また、産婦人科向けには分娩に関する補助金も出ています。

(高山)非正規雇用の方の能力開発支援についても教えてください。

(大西)非正規雇用労働者がオンラインで職業訓練を受ける際、キャリアアップ助成金のような形で支援が出る仕組みもあります。

加速する医療DXとマイナ保険証の利用促進

(大西)次にDX関連です。マイナ保険証の利用促進のため、カードリーダーの導入費用に224億円が投じられています。

カードリーダーは1台約10万円ですので、申請すれば実質無料でもう1台設置できる計算になります。

(高山)電子処方箋の普及に向けた補助も継続されるのでしょうか。

(大西)電子処方箋の導入に伴う電子カルテのバージョンアップ費用として、10万円程度の補助が継続されます。

公費負担医療のオンライン資格確認への対応

(高山)電子処方箋の利活用促進事業の3.3億円の話でしょうか。

(大西)3.3億円や2.9億円といった予算ですね。電子処方箋についても補助金が出ます。

もう一つ「公費負担医療制度」についても動きがあります。これは生活保護や、地方単独公費である子供医療券などの資格をオンラインで確認できるようにするための補助金です。

(高山)オンライン資格確認の機能拡張ですね。

(大西)オンライン資格確認の追加版という位置づけです。

従来は保険証のみだったオンライン確認を、生活保護や子供医療券でも利用可能にするためのバージョンアップ費用として、5.4万円が充てられます。

(高山)これはクリニック側に支払われる予算ですね。7.3万円を上限とした3/4補助で、システムを改修するための資金ということですね。

システム改修はメーカーへの発注が必要になりますね。

メーカーにとっては少し特需という感じになりますね。

(大西)そうですね。これもすぐに始まってきます。

医療扶助のオンライン資格確認への補助

(大西)あとは「医療扶助」、つまり生活保護に関する話です。資料の64ページにある「医療扶助のオンライン資格確認」は、令和6年3月から運用が開始されました。

しかし、まだ全体の2分の1しか導入が進んでいないため、さらに補助を行うことになり、クリニックに対しても5.4万円が支給されます。

(大西)先ほどの公費(子供医療券など)と、この生活保護(医療扶助)は切り離して考えます。

それぞれ機能が異なるため、5.4万円ずつ、両方の補助金を受け取れる形になるのかなと思います。

(高山)なるほど。先ほどと同じパターンですが、機能が違うため、それぞれに予算がつくということですね。

(大西)そうですね。その分のお金が入ってきます。

予防接種事務のデジタル化事業

(大西)もう一つ、非常に新しい話として「予防接種事務デジタル化事業」があります。

予防接種は非常に手間がかかる業務です。

現場では、自治体から配られる3枚複写の問診票を使い、1枚はクリニックが保管し、残りは各所に提出するといった複雑な仕組みになっています。

これをすべてデジタルで済ませようというプロジェクトです。

(高山)紙がなくなることで、医療機関側も楽になりますね。

(大西)そうです。現在開発が進められており、上手くいけば来年度からは、予防接種の手続きがオンラインで完結する仕組みができる予定です。

これには70億円の予算が自治体やデジタル庁に充てられており、ぜひ進めてほしい分野ですね。

(大西)前回もお話しした診療報酬改定における「レセコン標準化(共通算定モジュール)」についても、42億円の予算がついています。

(大西)また、レセコンの標準化(共通算定モジュール)についても42億円の予算がついています。

現在はメーカーごとに仕様がバラバラですが、これを一本化することで診療報酬改定時の作業が楽になります。

本格運用は令和10年の予定ですが、今年の6月から段階的にスタートします。

サイバーセキュリティ対策の重要性

(大西)最後にサイバーセキュリティ対策です。ランサムウェア攻撃などのリスクに対し、電子カルテ導入病院の外部接続の見える化支援などに15億円が計上されています。

まずは病院から始まりますが、今後は診療所に対しても補助が出てくるでしょう。

(高山)クリニックも無差別な攻撃の対象になるリスクがありますよね。

(大西)医療機関と国のネットワークが繋がっていく中で、一箇所が突破されると全体に影響が及ぶため、いたちごっこの対策にはなりますが、今後も予算は増えていくはずです。

サイバーテロは世界情勢ともリンクしており、我々は常にプロテクトする準備をしておかなければなりません。

今後のスケジュールと「短冊」の発表

(高山)今回の補正予算案について、クリニックに関係するポイントを解説いただきました。

世間では衆議院の解散・総選挙の話題も出ていますが、診療報酬改定の情報は予定通り出てくるのでしょうか。

(大西)スケジュールとしては、具体的な点数が示される「短冊」の発表が2月の第2週頃になると聞いています。

(高山)この放送がアップされる2月16日の週には、ちょうど短冊の詳細が出ているタイミングですね。

(大西)2月23日の週から、その短冊の内容に基づいた具体的な点数や算定の取り方について、随時解説を進めていきたいと思います。

(高山)来週からの具体的な解説も楽しみにしています。大西さん、ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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