クリニックにおけるキャッシュレス決済の導入メリットと選び方【サービス比較】

クリニックにおけるキャッシュレス決済の導入メリットと選び方

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はじめに|キャッシュレス決済はクリニックでも”当たり前”になる時代へ

日本社会全体でキャッシュレス決済が浸透しつつある中、医療機関、特にクリニックではまだ導入率が限定的です。経済産業省のデータによると、2022年の国内キャッシュレス決済比率は36%に達していますが、病院やクリニックでの導入実態はそれに追いついていません。

その背景には、経営面での手数料負担や運用の煩雑さ、システム選定の難しさなど、医療機関特有の課題が存在します。

本記事では、キャッシュレス決済をめぐる現状と課題を整理しつつ、クリニックが導入する際の実践的なポイントや、患者・スタッフ双方にとってのメリット、導入手順を解説します。また、POSシステムや自動精算機との組み合わせによる合理化についても触れていきます。

キャッシュレス決済とは?|代表的な決済手段と特徴

キャッシュレス決済とは、現金を使わず、電子的な手段で代金を支払う方式です。


医療機関で導入されることの多い決済手段の例

  • クレジットカード/デビットカード:後払い(クレジット)や即時払い(デビット)方式。高額決済にも対応し、導入率が比較的高い手段です。
  • 電子マネー:Suica、PASMO、楽天Edyなど、事前チャージ式の決済方式。非接触でスピーディな利用が可能。
  • QRコード決済:PayPayや楽天Payなど、スマートフォンアプリを介した決済方式。導入コストが低く、若年層に浸透。

これらの決済サービスは単独で導入されることは少なく、POSレジや自動精算機と連携して運用されるのが一般的です。

導入前の注意点|なぜ医療機関ではキャッシュレス導入が進まないのか?

キャッシュレス決済のメリットは明白ですが、クリニックでの普及が遅れている背景には以下のような要因があります。

  • 手数料負担:決済手数料が2〜3%発生し、小規模クリニックにとっては経営上の負担になると考えられがちです。
    特に保険診療では診療報酬が公定価格であるため、小売りと同じように値上げで手数料分を吸収する手段はとれず、純粋な収益減となる点が問題視されています。
    このため、キャッシュレス決済の対象を自費診療のみに限定したり、3,000円以上など一定額以上の支払いにのみ対応しているケースもあります。
  • 現金管理の慣習:現金収入に慣れた医療機関では、キャッシュフローの見通しや帳票処理の変更に対して不安を持つ声も多くあります。
  • スタッフ教育・業務効率:選択肢が増えることで業務効率や回転率低下の懸念を生むことから「このままで」と判断されることもあります。

キャッシュレス手数料の仕組みは?

キャッシュレス決済にかかる手数料は、決済手段ごとに異なる場合と、導入する決済端末や決済代行サービス側で一律に設定されている場合があります。
例えば、AirPAYやSquareなどでは、クレジットカード、電子マネー、QRコードなどすべてをひとつの端末で処理でき、手数料率もそれぞれのブランドで統一された水準(例:2.2%〜3.25%など)になっています。
「決済手段ごとに違う」よりは、「どの決済サービスを導入するか」によって手数料が決まると理解するとよいでしょう。

キャッシュレス決済の導入がもたらすメリット

■ 医療機関(クリニック)側のメリット

  • 会計業務の効率化:現金授受がなくなり、締め作業や入金管理がシンプルに。
  • 感染症対策:非接触での支払いにより、院内感染リスクを低減。
  • 差別化と集患効果:患者ニーズに対応する先進的な医療サービスの印象を与えられる。

■ 患者側のメリット

  • 会計の手間削減:財布を出さずにスマートに支払いが可能。
  • 心理的負担の軽減:予想外の支払い金額にも柔軟に対応できる。
  • 利便性の向上:どの年代でも90%以上の患者が「キャッシュレス対応クリニックは便利」と回答(QLife調査)。

導入方法と選定ポイント|クリニックに合ったサービスの選び方

ステップ1:対応したい決済手段の検討

  • クレジット、電子マネー、QRコードなど、患者層や診療単価に応じて柔軟に選定。

ステップ2:決済端末・サービスの選定

  • 決済サービスには「全産業型(AirPAY、Square等)」と「医療特化型(PayCAS for クリニック等)」があり、それぞれ費用体系や機能が異なる。

ステップ3:POSや自動精算機との連携確認

POINT:レセコン連携は決済サービスの機能ではない
キャッシュレス決済サービス(AirPAY、stera等)は単体ではレセプトコンピュータ(レセコン)と連携しません。実際には、POSレジや自動精算機が「中継役」となり、レセコンとの連携を担っています。

システム 主な役割
決済端末 支払い処理(電子・カード・QR)
POSシステム 売上管理、レセコンとの情報連携
自動精算機 セルフ会計処理、受付との連携
レセコン 診療情報・請求処理の中核

会計業務の合理化に向けた多様な選択肢

POSレジとの組み合わせ

まず費用や導入ハードルの低さからに検討しやすいのが、POSレジとキャッシュレス決済端末を連携、あるいはキャッシュレス決済搭載のPOSレジの導入です。→POSレジ特集記事

  • 月額無料〜1万円台で利用できるクラウドPOSが選択肢に
  • SquareやPayCASなどのPOSレジ+決済端末のシームレスな連携で操作の手間も最小化
  • クリニック向けではないPOSレジはレセコン連携不可も多いが、連携しないことでシステム調整なく手軽に始められるメリットも。
    →自由診療や決まった決済だけキャッシュレス可能とする方法がおすすめ!

自動精算機(セルフレジ)との連携

自動精算機・セルフレジは、キャッシュレス決済が標準搭載・またはオプションで搭載することが可能です。
診療後の会計を患者自身で完結でき、業務効率化や待ち時間減少に大きく役立ちます。クリニック向けを謳う企業の自動精算機では、レセコンや各種効率化ツールとの連携が可能です。

  • 診療報酬の自動反映と釣銭の自動処理により、受付業務の負担を大幅に軽減
  • 診察券バーコード読取多言語表示対応予約情報との連携など、現代のクリニックに必要な機能を搭載
  • レセコンと連携し、保険診療と自費診療の金額を自動で分けて表示
  • 高額設備だが、IT導入補助金対応製品も多数あり

診療支援システム(オンライン会計連携型)

近年は、予約・問診・診療・会計までを一括管理するクラウド診療支援システムも登場しています。
患者がアプリで予約・事前問診を行い、診察後はオンラインで決済が行われるサービスも増えています。

  • 予約・問診、オンライン診療、事前決済、電子カルテ連携、電子処方箋などあらゆる業務を一元管理
  • 受付レス・キャッシュレス・非接触を一気通貫で実現できる
  • 初期費用0円〜、月額15,000円前後で導入可能なパッケージも

訪問診療における集金代行や後払いモデル

訪問診療の現場では、現金授受の負担を減らすための集金代行サービスや後払い請求も有効です。

  • 決済サービスを通じて、後日オンライン請求書を発行し、クレジットカードや銀行振込に対応
  • 患者や家族が非対面で支払えるため、感染症対策にも寄与
  • 一部サービスは診察後の遠隔会計処理までサポート

このように、キャッシュレス決済は「単体で導入するもの」ではなく、自院の会計体制・業務構造・診療形態に合わせて、連携可能なツールを組み合わせることが成功の鍵です。

小規模クリニックでも導入できる?費用感と導入モデル

小規模クリニックにとって、キャッシュレス導入にかかる初期コストや運用負担は大きな課題です。しかし、最近ではそうした課題を解消できるサービスが増えており、段階的な導入も現実的です。

  • 初期費用ゼロのサービス:キャッシュレス決済サービスは、端末費用が無料または格安で月額費用も不要なものも多く、決済手数料のみで運用可能です。
    電子マネーやクレジット、QRコード決済など複数の決済手段に1台で対応できる端末が主流となっています。
  • 段階的な導入:最初からフル機能を揃える必要はありません。たとえば、まずはクレジットカード決済のみ導入し、次にQRコード・電子マネー決済に拡張、最終的に自動精算機やPOSと統合するなど、予算や運用体制に応じてステップを踏むことが可能です。
  • レセコンと切り離した運用も可能:レセコン連携を前提としないキャッシュレス決済端末であれば、既存システムへの影響を最小限に抑えつつ導入が可能です。
    診療情報の入力はレセコン、支払い処理は端末という分業構成で、スピード導入・低リスク運用が実現します。

このように、初期費用を抑えつつ運用できる製品や、将来的な拡張を見据えた柔軟な導入ステップを踏むことで、小規模な医療機関でも無理なくキャッシュレス対応を進めることができます。

キャッシュレス決済サービス情報詳細

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各種POSレジと連携可能なキャッシュレス決済サービス・端末

特徴
特徴POS連動、継続率99.6% 契約台数68,000台以上
費用決済手数料:クレジット決済3.24%、電子マネー3.10%~、交通系IC2.60%~、コード決済3.24%~、
クレジット利用料:440円/月、電子マネー利用料 基本料330円/月、電子マネー1ブランドにつき追加料金発生
初期費用:要見積もり
備考

(株式会社寺岡精工公式HP:https://payoss-service.com/clinic/)

特徴
特徴おまとめ診察券 byGMO for steraが標準搭載、デジタル診察券で診療効率化が可能
費用初期コスト不要、サブスク型
決済手数料:クレジットカード永年1.50%、QUICPAY+を除くQRコード決済・電子マネー:3.24%
サービス利用料:月額3300円
振込手数料:三井住友銀行口座なら0円、その他の銀行口座:220円
備考

(SMBC GMO PAYMENT株式会社公式HP:https://www.smbc-gp.co.jp/stera/clinic/)

特徴
特徴クレジットカード、FeliCa、電子マネー、中国銀聯、バーコード系決済
費用USEN PAY (レジ機能なし)月額利用料 :1,980円/台
USEN PAY+(レジ機能あり)月額利用料:5,980円/セット
決済手数料:クレジットカード決済1.9%~、電子マネー決済3.24%~、QRコード決済3.0%、
入金手数料:無料~180円
備考

(株式会社 U-NEXT HOLDINGS公式HP:https://usen.com/service/payment/)

特徴
特徴クレジットカード、FeliCa、電子マネー、中国銀聯、バーコード系決済対応
費用初期費用、月額費用、決済手数料要問合せ
備考

(チョキ株式会社公式HP:https://choqi.co.jp/choqipay/)

特徴
特徴他社製POSレジとの連携が可能
費用決済手数料:クレジットカード決済1.50%~、電子マネー1.98%、QRコード3.24%~
初期費用:決済端末代 税込19,800円
月額固定費0円、解約費0円
備考スマホまたはタブレット要準備

(STORES 株式会社公式HP:https://business.coiney.com/medical)

特徴
特徴・導入後のサポートデスクは年中無休
・カード・電子マネー・QRコード決済に対応
費用導入費用・端末代・固定費0円
カード決済手数料1%台~
備考決済端末:stera terminal(三井住友カード)、spaydなど

(株式会社EPARKフィナンシャルパートナーズ公式:https://fp.epark.co.jp/payment/clinic/)

特徴
特徴日医会員向けに特別手数料・価格にて決済サービスを提供。
費用決済手数料:日医会員VISA 1.45%~、交通系IC 2.18%(税込)、コード決済2.53~2.80%
振込手数料:220円/回、
月額利用料:クレジットカード無料、電子マネー550円/月、コード決済初期費用のみ22000円
備考

(日本医師会ORCA管理機構公式HP:https://www.orcamo.co.jp/products/cashless.html)

診療支援システムと連携するオンライン決済サービス

特徴
特徴マーケティング・CRM、業務効率化、集患とリピート率の改善、既存の電子カルテと連携、
オンライン決済など、運用に合わせカスタマイズ可能な診療支援システム
費用要見積もり
備考物販に対応、自費診療・保険診療どちらでも活用可能

特徴
特徴QRチェックイン、ネット決済、LINE連携
他のキャッシュレス決済と併用可能
費用初期導入費、月額利用料、決済手数料0円
備考・現在電子カルテ・レセコン連携なし(将来的に電子カルテ連携や予約・問診機能などを想定)
・導入時サポート、電話サポート、メールサポート

(株式会社MICIN公式HP:https://smartpass-clinic.curon.co/)

特徴
特徴新規予約・再来予約機、電子診察券機、問診回答機、キャッシュレス決済機能、電子領収書、後払い、リマインド通知
電子カルテ連携が可能、ビデオ通話機能搭載でオンライン診療対応
費用初期費用:0円
月額:15,800 円
サービス利用手数料:2.95%
備考

(エムスリー株式会社公式HP:https://digikar.m3.com/digisma)

特徴
特徴診療予約システム「メディカル革命」のオンライン決済サービス。
メディカル革命申し込み後、GMOイプシロン株式会社へのWEB申請で利用可能
費用要問合せ
備考

(GMOリザーブプラス株式会社公式HP:https://medical-reserve.co.jp/products/cashless)

特徴
特徴予約、問診、オンライン決済、LINE連携、電子カルテ連携が可能な診療予約システム
費用個別見積もり
備考

(株式会社TEN EXPERIENCE公式HP:https://fanka.jp/)

訪問診療・オンライン診療で役立つ決済サービス

特徴
  • 訪問診療の患者様負担分の集金を口座引き落としにできるサービス
  • 導入費用・システム利用料0円、利用した月だけの費用発生、 請求件数は1件から利用可能
  • 個人事業主でも利用可能、電子カルテとの連動も可能
特徴
特徴専用URLを患者宛てに送るだけのシンプルな活用で、遠隔支払いを完結
ZOOMやSkype等の診察後、スムーズな決済が可能
費用要問合せ
備考

(アルファノート株式会社公式HP:https://www.alpha-note.co.jp/online_pay/medical/)

まとめ|キャッシュレス対応でクリニック運営を効率化

キャッシュレス決済の導入は、クリニック経営にとって「患者満足」と「業務効率」の両立を実現する有効な施策です。単なる決済手段の拡充ではなく、受付・会計・診療後フロー全体の合理化にも寄与します。
貴院のクリニックに最適なキャッシュレス決済を検討しましょう。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
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