医師の生涯学習の実態について簡易Web調査を実施

株式会社インテージヘルスケア(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:仁司与志矢)と、株式会社協和企画(本社:東京都豊島区、代表取締役社長:山田淳史)は、全国の医師を対象に、「医師の生涯学習」について簡易Web調査(TenQuick)を行った。
調査結果から、生涯学習を行う動機や、行っている生涯学習の内容が明らかになった。

■調査結果

1.98.1%の医師が必要性を認識している生涯学習。実施している医師は73.7%、実施していない医師の理由は?

厚生労働省が発行する「医師臨床研修指導ガイドライン(2020年度版)」では、医師に求められる具体的な資質・能力のひとつとして、「生涯にわたって共に学ぶ姿勢」が挙げられている。医師の生涯学習の必要性については医師自身も強く認識しており、98.1%が「必要性が高い」と回答している。一方で、「生涯学習を実施している」と回答した医師は73.7%に留まった。

生涯学習を実施していない理由としては、35歳以下の医師では「忙しくてできない」が88%、「疲れてしまってできない」が69.5%と、多忙を極める日常業務で生涯学習に充てる余裕がない様子がうかがえる。また、50歳以上の医師の64.9%が「受講したいコンテンツがあるかどうか調べる余裕がない」としており、年齢が高くなるほどそもそもどんな学習コンテンツがあるのか、探すこと自体にハードルがあると考えられる。

2.日常診療でスキル不足を感じることが生涯学習のきっかけとなる医師が多く、eラーニングなどのWebよりもリアルな勉強会などの生涯学習の実施が多数を占める

実際に医師は、どのような時に生涯学習の必要性を感じ、どのような生涯学習を実施しているのか。

生涯学習のきっかけは「日常診療でスキル不足を感じた」が最も多く、次いで、「治療ガイドラインが発行・改定された」となっている。経験が浅い若手の医師ほど日常診療でのスキル不足を感じることが多く、時間的な余裕がない中で生涯学習に充てる時間を捻出している実態が垣間見える。

実施している生涯学習の内容で最も多かったのは、有償では「学術集会への参加」で82.3%、無償(または無償に近い)では「治験ガイドラインの参照」で81.9%となった。

リアルな「勉強会」などは、有償であっても積極的に実施している割合が高い一方で、有償のeラーニングの活用は進んでいないことが分かる。多忙を極める医師にとって効率的に生涯学習を行うことができるeラーニングは、さらなる活用の余地があるのかもしれない。

3.医師の目指す方向性に合った生涯学習コンテンツとは?

生涯学習の方向性について、「専門性を高める」と「総合医を目指す」、どちらの方向性にウェイトを置いた生涯学習を行うか、年代別に確認した。その結果、いずれの年代でも「専門性を高める」と回答した割合が高くなっているが、ベテラン医師は若手・中堅に比べると「総合医を目指す」割合が高い傾向がみられた。

忙しい医師には、生涯学習のコンテンツをより効果的に選択できる環境が重要であることが分かる。
例えば、比較的経験の浅い医師には、より専門性を高めることができる内容の勉強会に加えてeラーニングの活用を促進することで、効率的に日常診療におけるスキルアップが図れるかもしれない。ベテラン医師には、専門分野を強化することに加え、総合的な視点も含めた生涯学習コンテンツを、より分かりやすく、調べやすい形で示していくことが期待されているのかもしれない。

■調査概要
調査方法:簡易Web調査(TenQuick)
調査地域:全国
調査対象:医師
有効回答数:315サンプル
若手(35歳以下):105サンプル
中堅(36歳~49歳):106サンプル
ベテラン(50歳以上):104サンプル
調査実施期間:2019年11月21日(木)~ 2019年11月25日(月)
調査主体:株式会社インテージヘルスケア Quick Survey室

■本調査に関するお問い合せ
株式会社インテージヘルスケア
Quick Survey室
TEL:03-5294-8393(代)
E-mail:ant-tenquick@intage.com