社会医療法人社団光仁会、吉田様に外来機能分化によってクリニックに求められる役割についてお話をお伺いしました。
吉田様には、現在公開中の診療所マネジメントEXPOでもご講演いただいています。
※2022年11月1日にCPA EXPOは診療所マネジメントEXPOに名称を変更しました。
診療所マネジメントEXPO講演内容をお聞かせください
講演タイトル『医療制度の方向性と外来機能分化』
本インタビューにおいてお話する内容に加え、いかに効率的・機能的に医療を進めていくべきかについて、診療報酬改定など制度面での観点も踏まえて、包括的にお話しできればと考えています。
直近においての医療制度の方向性についてはどう感じられていますか?
2025年、2040年に向けた改革がコロナ禍においても着々と進んでいるといった感じです
昔は、高齢者の医療費負担が無料という今となっては信じられない時期もありましたが、現在は一定の割合を支払う必要があり、その負担も少しずつ増えてきています。
この背景としては、当然のことながら社会保障費の増大が挙げられます。今後は少子高齢化や人口減少といった事情に加え、直近ではコロナウィルスによる想定外の出費があり、日本の財政は破綻するのではないかなどと言われていますが、いずれにせよ国の財政から医療に対してお金を割ける比率が減ってきているのは事実ですし、当面はこの給付と負担の議論は避けては通れないものと思われます。
国の財政から医療に関わる支出がどのようになるかに関わらず、将来的には患者さんの絶対数が減少していくのは間違いありません。そのため、正直な意見を申し上げるのであれば中長期で見て医療業界が今以上に明るい状態になるとは言い難いところです。
これまでのように医療機関の建て替えなど設備投資も行いにくい状況になるのではと感じます。
医療機関によっては経営戦略を定期的に見直す必要が出てくるのではないでしょうか。
近い未来に目を向けると、今回の診療報酬改定で二次骨折の予防に点数がついたように、お年寄りの患者さんが増えていくことで、骨折や認知症といった患者さん (様々な疾患を抱えた患者さん)が増加してきます。そうなると、最終的には「かかりつけ医」「在宅かかりつけ医」として診療所又は200床未満の病院の先生方が普段の全身管理のために必要となってくることになります。
外来機能分化によって、クリニックが担う役割はどのようになっていくでしょうか?
一般診療所でも在宅を診るといった役割、それを可能とするためにそれぞれの診療所が連携強化できれば理想
私、個人的に在宅医療はもう少し拡がっていくのかなと感じていましたが、診療報酬改定での締付けが影響しているのか、そこまで拡がっていないのが現状です。
在宅医療となると、24時間365日の精神的な負担を嫌う先生が多いのが実情のようです。
退院後在宅へ、外来から在宅へ、とシームレスに対応できるよう共同指導料なども新設されました。国としても一般診療所や200床未満の病院の先生が在支診、在支病だけではカバーできない在宅医療患者の救世主になって欲しいのだろうと感じます。
外来機能報告制度が進んだ先に、逆紹介の獲得に向けてクリニックが取り組めることはどんなことがありますか?
各医療機関と普段から交流を持つこと
今さらではありますが、コロナ禍でも明らかになったように、お互いに顔の見える関係性の構築がとても重要だと感じて思います。
今後、外来機能報告制度により「紹介受診重点医療機関(200床以上)」が公表されますが、紹介受診重点医療機関には紹介率や逆紹介率の基準が設けてあり、しかも、患者さんが直接外来を受診した場合、特定機能病院や地域医療支援病院のように、選定療養費として自費が徴収されることになるため、結果として、外来患者は紹介患者のみを診ることになります。なので、紹介受診重点医療機関から診療所や200床未満の病院への逆紹介が進むことになるでしょう。
コロナ禍では医療機関間の紹介逆紹介が上手くいきませんでしたが、顔見知りの先生同士だとスムーズに紹介できたりしたのではないでしょうか。そのようなものなのです。
そうした実体験をヒントにこれからの地域における連携を充実されることをオススメします。
令和4年度の診療報酬改定のテーマは「機能分化と連携」、改定項目の要件等にたくさんのメッセージが詰まっていますので今一度ご覧になられてはどうかと思います。
プロフィール
社会医療法人社団光仁会
理事・法人本部長
シェモア 社外取締役
吉田 克己 氏
社会医療法人社団光仁会の理事及び法人本部長を務めている吉田と申します。福岡で介護施設を持つChezMoichezmoi(シェモア)の、社外取締役も務めています。
福岡出身福岡育ちでちょうど5年ほど前に東京に出てきました。
理由としては、やはり東京の方が医療に関する様々な情報が入手しやすく、スピード感を持って中央情勢を知ることができるためです。
現在はネット社会のため、どんな情報も自分から入手しにいく必要がありますが、その感覚を肌で確かめるために上京してきました。
2年ほど前からコロナウィルスが流行しましたが、やはり東京にいることで入手できる情報は多いと感じています。