クリニックを発展させる組織づくり#6

院長が売り上げも技術も一番でなければいけない?

この連載では、組織を成長させるマネジメント方法のベストプラクティスとして2000社以上が導入し、クリニックにも多数導入されている「識学」を解説していきます。識学の視点で「上司」と「部下」の人間関係に悩む全ての院長に対処法や予防法をお伝えします。

今回のテーマは、院長自身がスタッフの中で売り上げも技術も一番優れていなければいけないのか?ということを考えてみたいと思います。

<プロフィール>

株式会社識学 識学講師
早川拓幹
https://corp.shikigaku.jp
株式会社識学にて組織マネジメントのコンサルティングに従事。日々、経営者に組織マネジメントの原理原則を伝え、実践を支援。
前職では、営業部長として寄り添い型のマネジメントを実践するも、組織の成長や部下の成長という観点で疑問を抱き、苦しんだ経験から日々経営者に識学の重要性を伝えている。
法政大学社会学部卒業。

相談内容:院長が売り上げも技術も一番でなければいけない?

まず、考えたいのは、組織の縦の位置というのは何によって決まるかという点です。

組織の縦の位置は○○によって決まる。ただそれだけ。

院長だからといって、すべてにおいてスタッフより優れていなければいけないと思ってしまう方は多いのではないでしょうか。ですが、そんなことはありません。

他の組織で考えてみればすぐにわかります。プロ野球の監督であれば、現役のピッチャーよりも速い球が投げられなければいけないでしょうか。ホームランをどの選手よりも打てなければいけないでしょうか。あくまでも監督という役割についているため、チームの勝敗に責任を持って采配をしているだけにすぎません。

ところが、働く現場では、「院長なんだからスタッフよりも技術が優れていなければいけない」「院長なんだから、誰よりも売り上げを上げていなければいけない」「院長なんだから誰よりも事務作業を早くできなければいけない」などと錯覚をしてしまうケースがあります。

また、上記のように「技術で部下に勝たなければいけない」という意識が強すぎるほど自らは技術があるということをアピールし、マウントをとってしまい、最悪パワハラにつながってしまうということがあり得ます。このような状態は、院長の意識上、組織の縦の位置関係ではなく、横の位置関係=同位の位置関係になってしまっていることを指します。

組織の縦の位置というのはあくまで役割で決まっています。

院長はプレイヤーと同じ土俵に立ってはいけない。あくまで、管理する役割であることを忘れない

院長という役割はあくまでもクリニック全体の舵取りをすることが役割です。もちろん自分の技術を使って、クリニック全体の価値を高めるということは市場で生き残っていく上で必要なことでしょう。ただし、同じ土俵で勝とうとしなくてもいいのです。

ですが、スタッフは「技術が俺のほうが上なのに!」とか「自分のほうが売り上げを作っているのに!」などと同じ土俵に立とうとするかもしれません。

そのような感情をぶつけてくるスタッフに同調して、同じように勝負する必要はないのです。

そもそも位置が違うのですから。親が子供と「自分のほうが頭がいい!」などと勝負することがあるでしょうか。しないはずです。あくまでも親の役割は、子供を自立させ社会に出て活躍させるようにするだけです。院長の仕事は、「部下であるスタッフを成長させ、クリニック全体の可能性を最大化させ、市場に対しての有益性を上げていくことに集中する」であることを忘れないでください。

スタッフと院長の立場が違うということを認識させるために必要なものとは?

ところが、スタッフは同じ土俵で戦おうとしてくるかもしれません。

そんな時は管理を強化する必要があります。管理を強化するいくつかの方法がありますが、まず最低限管理者として用意しておくべきもの。

それは、ルールです。

院長の皆さんはルールを設定し、スタッフに守らせるということを普段実行されているでしょうか。

クリニックの運営は最終的な全責任は誰がとるべきでしょうか。そうです。院長です。

トップである院長がまずやらなければいけないことは、ルールを設定して、それをスタッフに守らせる。そのルールとは組織の基準となるルール。組織にいる人間にとって当たり前のルール。できるできないが存在しないルールです。

もし守っていないスタッフがいれば、「うちで働く以上はこのルールは守ってください」と守れていないことを指摘し、守らせてください。

それを繰り返すことで、スタッフにこの組織にいる以上は「自分は院長に管理される立場の人間である」ということを認識させていきます。そして院長とは同じ位置にいないことを認識させます。

そしてルールだけでなく、スタッフとのコミュニケーションにおける「インフラ」を活用して、よりスタッフと院長との役割の違いを認識させていきます。それは「週次会議」です。ただし、週次会議のやり方にはコツがいります。それがどのようなものか気になる方はぜひお問い合わせください。

 

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