アフターコロナのクリニック経営#1

#1 クリニック経営冬の時代に経営の基本を整える

新型コロナウイルスを境にクリニック経営が厳しくなりました。これからどうすれば良いでしょうか?

A .コロナ後に患者さんが戻ってきたクリニック、そうでないクリニックに二極化しています。厳しい時代でも選ばれるクリニックになるよう経営に取り組みましょう。

 

新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから一年以上が経ちました。医療業界も他の業界と同じように大きな影響を受けました。コロナの治療をしている病院はもちろん、クリニックもその例外ではありません。診療科目によっては患者数が前年に比べて半分以下になるなど、一時は大変な状況になってしまいました。これまで日本の医療業界が経験したことのない未曾有の状況だったことは間違いありません。

 

現在に至ってもまだ患者数が回復せず、中には残念ながら閉院されたクリニックや、閉院を検討しているクリニックもあるようです。しかし、このような厳しい状況の中でも前年と同等、あるいはそれ以上の患者さんを診ているクリニックも数多くあります。クリニックの二極化が急激に進んでいるのです。

では、患者さんが戻ってきているクリニックとそうではないクリニックで行っている診療内容や様々な対策が大きく違っているのかというと、そうとも言えません。何がこの大きな差を生んでいるのでしょうか。

それは、「患者さんが必要とする情報をわかりやすく伝え続けているかどうか」です。

 

ある地方都市の小児科クリニック(Aクリニック)の事例

Aクリニックの近隣には小児科クリニックが2件ありました。Aクリニックは3年前に開院、Bクリニックは10年前の開院、Cクリニックは最近父親から承継したばかりです。以前はどのクリニックにも同じように患者さんが受診していました。しかし、コロナを機にこのバランスが大きく変化しました。
2020年の春先には全てのクリニックが大幅に患者数を減らしましたが、しばらくするとAクリニックは前年よりも多くの患者数になり、Bクリニックはほぼ同等の患者数に戻り、Cクリニックは患者数が大きく減ったままでした。

Aクリニックの院長先生によると、この差がついた原因は感染対策の内容を積極的に情報発信をしていたかどうかだと思われるのこと。どのクリニックも感染対策はしっかりしていたのに、その伝え方に違いがあったのです。

・Aクリニックの場合

ホームページに感染対策専用のページを作りトップページの目立つところにリンクのボタンを作りました。空気清浄機や消毒液、サーモグラフィなどの設備やこまめに換気し消毒している様子の写真を掲載、安心して受診いただけることを積極的に伝えていました。

・Bクリニックの場合

ホームページのお知らせ欄で感染対策をしていることをアナウンスしていました。

・Cクリニックの場合

先代の時代にしっかりしたホームページを作っておらず、感染対策をしていることをほとんど伝えることができていませんでした。

 

このちょっとしたことが大きな差を生み出していたのです。

小児科を受診する子供のお母さん方はコロナ感染が心配で受診を控えていましたが、子供の具合が悪くなったときには受診せざるを得ず、感染対策をしっかり行い安心して受診できるクリニックを真剣に探しました。その結果、このような差ができたのです。

 

今回は感染対策を例に説明しましたが、コロナを機に患者さんのクリニックを選ぶ目は厳しくなっています。インターネットなどで情報を収集し、安心して受診できるクリニック、専門性が高く良い治療をしている、自分にマッチしそうなクリニックであれば少々遠くてもそちらを受診する傾向が強まっているのです。これからのクリニック経営では、診療に関することはもちろん、様々な分野で患者さんが欲している情報、患者さんの役に立つ情報、患者さんが安心できる情報をわかりやすく発信していくことが最重要事項だということがわかります。

しかし、情報をわかりやすく伝え続けていさえいれば良いわけではありません。伝えた通りのことをしっかりと実行して患者さんの信頼を得る必要があるのです。「有言実行」が必要ということです。そのためにはクリニックが伝えたことをしっかりと実行できる組織を整えなければなりません。

クリニック全体を良い状態に整え続ける必要があるのです。私はこのことを「コ・マ・チを整える」とお伝えしています。

コ・マ・チとはコミュニティ、マーケティング、チームの頭の文字をとった略語です。コミュニティ(自院を受診する可能性のある方々)にマーケティング(コミュニティの方々が必要とする情報をわかりやすく伝え続ける)をしっかり行い、伝えたことを正く実行できるチーム(クリニックの院長先生、スタッフ)を整えるということです。これまで以上に真剣に経営に取り組んでいくことが今後のクリニック経営を継続するためには欠かせないのです。

 

このシリーズではクリニック経営冬の時代に不可欠な「コ・マ・チを整える」ことを中心に、これも不可欠なお金のマネジメントなどについても詳しくお伝えして参ります。

プロフィール

近藤隆二(こんどう りゅうじ)

 

1957年生まれ

医業経営コンサルタント

ファイナンシャルプランナー(CFP)

一般社団法人 医業経営研鑽会 副会長

https://www.doctor-dock.jp

これまでに200件以上のコンサルティングと、50院以上の顧問契約を締結。決めつけを嫌い、さまざまな状況に応じたフレキシブルなコンサルティングを行っている。

クリニック開業後に苦戦する事例を数多く目にしてきた経験から、よい経営の方法を知らない先生のために、セミナー・執筆活動やブログ、動画セミナー、メールマガジンなどを利用し積極的に情報を発信。

院長先生をはじめスタッフも患者さんも幸せになれる、良いクリニックづくりを陰から支えていくことが役割であり使命。

「人が自分らしく自分の人生を生きる」 ことを実現させる手段として、開院を希望するドクター、開業医のための「クリニック経営講座(動画)」を配信中。

 

関連記事

ピックアップ記事

  1. 2021-4-13

    訪問看護の専門家が、現場を膨大な請求業務から解放し、「時間」を生み出す新サービスが登場

    株式会社eWeLL(イーウェル、本社:大阪府大阪市、代表者:中野 剛人)は、2021年1月から開始し…
  2. 2021-4-12

    アフターコロナのクリニック経営#3

    #3 患者さんに選ばれ続けるクリニックの作り方 患者さんから共感・信頼をいただく Q .患…
  3. 2021-4-8

    新型コロナワクチン接種予約システムを提供する「STORES 予約(ストアーズ 予約)」、 北習志野花輪病院にて採用決定

    ヘイ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役:佐藤 裕介、以下「hey」)が運営するオンライン予約シ…

ログイン

ページ上部へ戻る