アフターコロナのクリニック経営#2

#2 クリニック経営の視点を患者さんに集中する

Q .患者さんに戻ってきていただくためには何に気をつければ良いでしょうか?

A .クリニック経営をする上で、常に視点を患者さんに向け続けましょう。
 患者さんは何で困っているのか、何が不安なのかを考え続けて行動しましょう。

新型コロナウイルスの影響で患者数が減ったクリニックが多くあります。
前回、詳しくお伝えしましたが、患者さんのクリニックを選別する目が厳しくなり、クリニックの二極化が進んでいます。
今後、近隣にクリニックが開院するなど、さらに厳しい環境になるかもしれません。これまでと同じことをしていたのでは、患者数は減り続けてしまいます。クリニック経営を継続するために経営の根本を見直す時期が来ているのではないでしょうか。

経営の視点を患者さんに集中する

このような厳しい時代に最も重要なことは、「経営の視点を患者さんに集中する」ことです。
これはどのようなビジネスにも当てはまりますが、クリニック経営ではあまり言われてきませんでした。これまではこのようなことを意識しなくても経営が成り立ってきたからです。しかし、これからはこの視点が不可欠です。

ビジネスはお客様から選ばれ続けないと継続することができません。
医療はビジネスではないと思うかもしれませんが、ここで言うビジネスとはお金儲けという意味ではなく、「相手(患者さん)に価値を与えて対価を得る」ということです。この循環を回し続けることがビジネスをするということです。

ここで忘れてはならないのは価値とは自分が考えるものではなく、相手(患者さん)が感じるものだということです。
このような医療を提供しているのだから患者さんは価値を感じて満足しているだろうと自分が思っていても、患者さんは満足していないことがあります。

Google上の様々なクリニックの口コミを見るとその片鱗をうかがえます。
「院長先生や看護師さんはしっかり治療してくれたけど、受付の態度が悪いのでもう2度と来ない・・・」などという口コミを目にしたことはありませんか?
このように院長先生がしっかり診療しても患者さんは満足せず、全体としてはマイナスの価値を感じていることがあるのです。これは一つの例ですが、クリニック経営の様々な局面で同じようなことが起こっています。

価値に対する対価はまず診療報酬が頭に浮かぶと思いますが、それ以外にも

・自院を信頼していただけること
・継続して受診していただけること
・家族・友人・知人に自院を紹介していただけること
・良い口コミを書いていただけること

など様々です。上記のように患者さんが不満を持っている時には、悪い口コミなどマイナスの対価をいただくことになります。

患者さんと自院がマッチすること

患者さんに価値を感じていただき良い対価をいただき続ける。
これが患者さんから選ばれ続けクリニック経営を継続する上で最も重要なことです。

ではそのために何が大切なのでしょうか。
それは患者さんと自院がマッチすることです。
患者さんがクリニックを受診しようと思う時は何らかの健康上の問題を抱えています。症状を早く解決して不安を早く解消したいと思い、クリニックに対して様々な期待を抱いています。
患者さんの期待と自院の提供する医療やサービスなどがマッチするかどうかが重要なのです。
患者さんは自分のニーズをクリニックが十分叶えてくれると価値を感じ、プラスの対価を与えてくれます。しかし、その逆のケースもあります。

例えば、わざわざクリニックを訪れたのにその症状を診てもらえなかったケースを考えてみましょう。
これは患者さんの症状とクリニックの診療内容がマッチしていなかったのです。極端な例かもしれませんが、実はこのようなことがよく起こっています。ミスマッチがあると患者さんはクリニックに対して不信感を持ち、マイナスの対価をいただくことになります。

自院を受診すべきか判断できる情報をわかりやすく伝えること

自院と患者さんがマッチするようにするにはどうすれば良いのか。
それは患者さんが自院を受診すべきかどうか判断できる様々な情報をわかりやすく伝えることです。

診療科目や診療時間、アクセスなどはもちろん、どのような症状の患者さんを診ているのか、どのような患者さんは診察しないのか、病院との連携はどのなのか、待ち時間はどれぐらいなのか、診療の方針はどのようなものなのか、院長先生はどんな人なのか、スタッフの対応はどうなのかなど、患者さんが知りたいと思われる情報を発信するということです。
患者さんはその情報を知ることで、そのクリニックが自分にマッチするのかどうかを判断することができ、ミスマッチを防ぐことができるのです。

ここで注意していただきたいことがあります。
情報は現実・ありのままを伝えること、そして、伝えたことをしっかり実行するということです。
自院を少しでも良く見せたい思いから、盛った情報を発信していたら患者さんはどう感じるでしょうか?
実際に受診しても期待外れでは不満を持ち、もう2度と受診することはないかもしれません。また悪い口コミなどマイナスの対価をいただくことにもなりかねません。

まずは、ありのままの情報を発信しながらクリニックを日々成長させ、それに応じて発信する情報をバージョンアップしていけば良いのです。

「事実を伝える」こと、「言行一致」が大切なのです。

そして、言行一致のためにはクリニックという組織を良い状態に維持して、伝えた通りの行動ができるようにしておかなければならないことは言うまでもありません。

CPAカンファレンス2021 登壇決定

コロナ禍で迫りくる事業承継と多店舗化のトレンド
株式会社G.C FACTORY 代表取締役 金子 隆一 氏との対談セッション

近藤様には上記テーマにて2021年5月21日(金)より開催のCPAカンファレンス2021にご登壇いただきます。
ぜひご参加ください。

受講登録はこちら
https://doctokyo.jp/cpa2021

プロフィール

近藤隆二(こんどう りゅうじ)

1957年生まれ

医業経営コンサルタント

ファイナンシャルプランナー(CFP)

一般社団法人 医業経営研鑽会 副会長

https://www.doctor-dock.jp

これまでに200件以上のコンサルティングと、50院以上の顧問契約を締結。決めつけを嫌い、さまざまな状況に応じたフレキシブルなコンサルティングを行っている。

クリニック開業後に苦戦する事例を数多く目にしてきた経験から、よい経営の方法を知らない先生のために、セミナー・執筆活動やブログ、動画セミナー、メールマガジンなどを利用し積極的に情報を発信。

院長先生をはじめスタッフも患者さんも幸せになれる、良いクリニックづくりを陰から支えていくことが役割であり使命。

「人が自分らしく自分の人生を生きる」 ことを実現させる手段として、開院を希望するドクター、開業医のための「クリニック経営講座(動画)」を配信中。