自動精算機の導入と問診票のデジタル化で生産性向上<前編>

生産性の向上が課題

少子高齢化が急速に進む現在、深刻な人手不足が顕在化しつつあります。このような労働人口の減少を受けて「生産性の向上」が直近の日本の課題となっています。この場合の「生産性」とは、生み出された成果(価値)に対して、その成果物を生み出すために投入された資源量の比率のことを指します。つまり、投入資源からどれだけの価値が生み出されるかの効率を高めるかという問題となります。

医療の世界でも、生産性の向上は重要なテーマと考えられています。医療機関のコスト構成を考えると、人件費が約6割に上り、大きな比率を占めています。医療における生産性向上とは、「限られた人数(人件費)で、多くの患者を診療することができるか」を考えることになります。

最近、受付に人を見かけなくなった

この10年間著しく人がいなくなった部門があります。それは、「受付」です。たとえば、駅の自動券売機や銀行のATM、そしてラーメン屋の食券機と、どんどん受付はヒトからコンピュータに変わってきています。また、レジスターの進化も著しく、「レジ打ち」という仕事はほぼなくなりました。商品の代金をお預かりすれば、それをレジに投入すれば自動で釣銭が出てくるようになっているのです。

自動精算機の導入で人数を減らすことができる

医療の世界でも、自動精算機が導入されるようになりました。当初は価格が高額であったことから、大規模病院から順番に設置が始まりましたが、いまでは、自動精算機の普及に伴い、価格が安くなったこと、受付スタッフの採用が難しくなってきた事などを受けて、病院だけではなく、診療所にも設置されるケースが見られるようになりました。

かつて、電子カルテを導入すると受付のスタッフは減りますかという質問をよく受けました。それに対しては、「業務は減りますが、人数自体は減りません」と答えていたのですが、いまでは「電子カルテと自動精算機を導入されれば確実に、人数が減ります」と答えています。

図 自動精算機の導入と問診のデジタル化


大西 大輔

MICTコンサルティング株式会社 代表取締役

2001年03月 一橋大学大学院MBAコース修了
2001年06月 医業経営コンサルティングファーム「日本経営グループ」入社
2002年10月 医療IT機器の常設総合展示場「MEDiPlaza」設立 (企画運営、スタッフ指導、拠点管理などを担当)
2007年01月 東京、大阪、福岡の3拠点を管理する統括マネージャーに就任
2013年10月 医師の右腕を育成する「電子カルテクラーク導入プログラム」を共同開発
2016年10月 (創立)コンサルタントとして独立し、「MICTコンサルティング」を設立
2018年01月 (法人化)MICTコンサルティング株式会社

過去3000件を超える医療機関へのシステム導入の実績から、医師会、保険医協会などの医療系の公的団体を中心に講演活動および執筆活動を行う。また、診療所・病院のコンサルティングや、看護師、リハビリスタッフ、事務員に対して、診療報酬点数、診療録の記載などの指導を行っている。