クリニックでのAI活用が標準になりつつある(前編)_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード25全文書き起こし

Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード25全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

オープニングトーク

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第25回始まりました。大西さん今回もよろしくお願いします。

(大西)はい、よろしくお願いします。 今日のテーマは何ですか?

今日のテーマ:「クリニックでのAI活用」

(高山) 今日のテーマは「クリニックでのAI活用」です。前編・後編に分けてお話ししていきます。

(大西) よろしくお願いします。
 AIを使う先生が増えてきています。色々な先生から「AIツールでどれが良いか?」と質問されることが多くなりました。色々なツールを試していますが、まだまだ発展途上ですね。今後の進化に期待しています。

(高山) AIの進化は凄まじいですよね。少し前まではRPAが流行っていましたが、最近はあまり聞かなくなりました。

(大西) 自動化とAIは違います。自動化はアナログ作業をデジタル化して自動で行うことですが、AIは進化します。

人間が行ってきた作業をそのまま行うだけでなく、さらに上のレベルの作業が期待されます。RPAでは進化が止まってしまいます。

(高山) 生成AIの分野は本当に凄いですよね。

(大西) 記事作成にAIを使っているという話もよく聞きます。最近では、テキストを入力すると画像が生成される画像生成AIや動画生成AIなども使われています。

結婚式で、撮影した写真をAIで動画にして、披露宴の最後に流す、といった使い方もされています。先日、実際に見て驚きました。あっという間に動画ができていました。

(高山) 早いですよね。

(大西) 最初にストーリーをプロンプトとして入力しておくと、必要な写真を選んで動画を作成してくれます。

(高山)スポーツ中継のダイジェスト映像なども、同じように作られているのではないでしょうか。

(大西) AIがストーリーを作れるようになったことが大きいですね。以前は、AIは学習するという段階でしたが、今はストーリーを作れるまで進化しています。

クリニックでのAI活用事例:問診・カルテ・診療報酬


(高山) クリニックでは、AIはどのように活用されているのでしょうか?

(大西) 最初に伸びたのはAI問診です。患者が入力した問診内容をAIが分析して、疑われる疾患を提示します。

それをカルテに貼り付けて診察を開始します。カルテの内容をAIが要約して紹介状を作成する、といった使い方もされています。要約機能は非常に便利です。

(高山) AIは文章作成が得意ですからね。

(大西) 10回、20回と来院している患者さんのサマリーを作るのは大変な作業ですが、AIならどの情報を引っ張ってくるかというプロンプトを入力するだけで、後はAIがやってくれます。

先生の思考パターンに合っていれば、簡単にサマリーを作成できます。

(高山) 過去歴の検索なども、AIは精度が高いですよね。

(大西) 電子カルテの標準化も進められており、あるメーカーが選定されて開発を進めています。そのメーカーはAIを得意としている会社です。

(高山) フェクサーですよね。このラジオでも一度取り上げました。

(大西) 選定理由の一つは、AIを得意としている点だったようです。

電子カルテの情報をAIが分析し、二次利用、三次利用していく、というのが国の描く未来像でしょう。

(高山) 効率化がどんどん進んでいきますね。

問診、カルテ、サマリーなどは診察に関わることですが、今後は診療報酬の分野でもAI活用が進むのではないでしょうか。

(大西) 診療報酬は頻繁に改定されるため、ロジックがしょっちゅう変わります。

10月にも改定があり、今回6月にも改定がありました。1年に2回も改定があると、人間の記憶力では対応が難しくなります。

AIによるレセプトチェックが普及するかもしれません。

現状では精度が良くないため、まだ使われていませんが、いずれはレセプトを入力すると「あなたはこういうミスをしやすいので注意してください」と教えてくれるようになるでしょう。

私たちもレセプトをチェックするときに、過去のデータから「病名漏れしやすいので気をつけましょう」「この点数は取り漏れしやすいので気をつけましょう」などと考えますが、AIの方が得意なので、AIがやってくれるようになると思います。

(高山) 過去のデータがクリニックに残っているので、それらをAIに入力すれば、電子カルテを乗り換えたときにも、傾向や病名などを引き継いでデータを作成してくれそうです。

(大西) スタッフが変わったときにも有効です。ベテランスタッフが作成していたレセプトが、スタッフが辞めた途端に見られなくなる、といった事態を防げます。

画像診断サポート、今後の展望


(高山) 最近は画像系の診断サポートも注目されていますよね。内視鏡やレントゲンなど。

(大西) 画像診断サポートは開発が進んでいますし、診療報酬の点数がついたため、さらに注目されています。

病変の見落としを防ぐのに非常に有効です。いずれは普通に使われる時代が来ると思いますが、現状では価格が高いのがネックです。

無料になれば一気に普及するでしょう。内視鏡やレントゲンに標準搭載されれば良いのですが。ChatGPTが普及したのも無料だったからです。

(高山) あるメーカーの内視鏡には、AIが最初から搭載されているそうですね。オプション機能ですが、バンドルされているようです。

(大西) バンドルはされていますが、使うと保守料が上がるので、結局は高くなります。

(高山) AIの分も上乗せされているのですね。画像ビューワーや診断ソフトに組み込まれているので、目に見えないのかと思っていました。

(大西) それはマジックです。お金は一括で払わないと払った気がしません。まとめて払ってしまうと、払った気がしないのです。リボ払いと同じ戦略ですね。

(高山) リボ払いは本当に凄いですよね。

考えた人は凄いですが、私は絶対に使いません。毎月「リボ払いができます」というお知らせが来ますが。

(大西) 丸井が始めた分割払いも、手数料や利子を見ると最大15%です。昔は18%もあったそうです。複利で計算すると、1年で倍になってしまうこともあります。

(高山) 恐ろしいですね。話を戻しますが、

(大西)画像系AIは今後さらに進化していくでしょう。モデリングにもAIが使えるようになります。

CTスライスを3D化してモデリングし、正常な画像と比較することで病変を発見できます。

人間がやると時間がかかりますが、AIなら一瞬です。スピードの面ではAIは凄いです。

(高山) 心電図の精密検査も、1週間分の波形を見返すのは大変な作業ですが、AIが自動で解析してくれるそうです。

(大西) 大量のデータを瞬時に処理できるスピードは、AIは人間よりはるかに優れています。ただし、AIはあくまで相談相手、あるいは参考にするにとどめるべきです。

(高山) AIが診断しているのか、医師が診断しているのか、曖昧になってきますね。

(大西) そのグラデーションが重要です。便利な物ほど落とし穴があるので注意が必要です。

(高山) 他にクリニックでAIが活用される場面はありますか?

(大西) シフト作成などにも使いたいと思っています。

大きめのクリニックでは特に有効でしょう。あとは経営データの分析にもAIを使いたいです。

先生方が一番困っているのは「自分のクリニックの強みは何か?」ということです。

AIに聞けば、患者数、売上、単価、コスト、利益率などを計算して、「先生の強みはこれです」と客観的なデータで教えてくれます。

どこに広告費を使うべきか、といった判断材料になります。コンサルタントの仕事もAIがやってくれるようになるかもしれません。

開業支援などもAIが行うようになるでしょう。

(高山) そうなるのも近い将来ですね。

(大西) 開業時のクリニック名についても、得意分野を名前にするべきか、包括的な名前にするべきか、など悩む先生が多いですが、AIなら周辺のクリニックの名前を分析して、目立つ名前を提案してくれます。

(高山) 開業コンサルタント全体をAIがやるのは難しいでしょうが、部分部分ならもう可能です。

(大西) ホームページ作成もAIが得意ですし、プロフィールも箇条書きから文章を作成してくれます。

(高山) 自分で書くより早く、上手いですからね。

(大西) デスマーチで悩まなくて済みます。文章が苦手な先生には助かるでしょう。

(高山) 筆無精の先生も多いですからね。自動更新型のホームページサービスも登場するかもしれません。

(大西) 毎日発信することが求められますが、毎日ネタを考えるのは大変です。しかし、AIなら可能です。

「10月はインフルエンザ予防接種の時期です」「11月はインフルエンザが増えています」「補助金が出ました」など、AIは情報を把握しています。

(高山) 開業したばかりの先生は、年間の行事を把握していないこともあります。そういった情報発信もAIがやってくれます。

(大西)細かい話ですが、スケジューリングにもAIが活用できます。

(高山) 予約システムなど、人が介在して調整が必要だった作業が、AIによって自動化されていきますね。ますます便利になります。

(大西) その通りです。

(高山) 一方で、AI活用にはリスクも伴います。

(大西) それは次回お話ししましょう。

(高山) では、この辺で前編を終わりたいと思います。

(大西) ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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