患者の集まるクリニックの作り方1_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード43全文書き起こし

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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山) 院長が悩んだら聞くラジオ第43回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何ですか?

今日のテーマ:クリニックに関する国の動向

(高山)今日のテーマは「患者が集まるクリニックの作り方 パート1」です。

どうすれば人気クリニックになれるのか、その中でも特に「ペルソナの作り方」についてお話したいと思います。

先生方の中には、「ペルソナって何?」という方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うと、患者像、マーケティング用語で言うとターゲット像のことです。

どんな患者さんに医療を提供していきたいのか、というテーマで進めていきましょう。

(大西)よろしくお願いします。

ペルソナとは何か?

(大西)ペルソナは、もともとは「仮面」という意味です。

人は皆、それぞれ仮面を被って生きています。では、どんな仮面を被っている人をクリニックに呼びたいのか? これがペルソナを考える上で重要な点です。

ターゲットという言葉もありますが、ペルソナはターゲットよりも深く、患者さんのことを細かく設定していく方法です。

ターゲットは、弓矢の的のように、一方通行で狙いを定めるイメージです。一方、ペルソナは双方向の考え方です。

自分がどんな仮面を被っていて、相手もどんな仮面を被っているのか。その仮面が一致するところに、患者さんと繋がるチャンスが生まれるのです。

ターゲットは「狙う」という一方通行な考え方なのに対し、ペルソナは双方向のコミュニケーションを前提としています。そのため、ペルソナ設定は、最近のマーケティングでは主流になりつつあります。

ペルソナ設定の具体的な方法

(高山)ペルソナを具体的にどのように設定していくのでしょうか?

(大西)年齢、性別、どんな疾患を持っているか、どんな思考を持っているか、経済状況など、様々な要素を細かく設定していきます。

生活状況や性格、生き様まで想像してみるのも良いでしょう。特に「思考」、つまり考え方については深く掘り下げることが重要です。

以前お話した「陰褒め」を思い出してください。自分が褒めたくなるような患者、あるいは逆に、こんな患者に褒められたい、という理想像がペルソナ設定のヒントになります。

先生はどんな患者さんに、どんな風に褒められたいですか? この評価される場面を想像することで、ペルソナ像が明確になり、自ずと提供する医療の内容も決まってくるはずです。

ペルソナ設定と行動変容

(高山)ターゲットは、この患者さん向けの医療を提供する、という一方通行な考え方になりがちですが、ペルソナ設定の場合は、相手が何を望んでいるのかを起点に、自分が何を提供できるかを考え、行動を変えていくという双方向のコミュニケーションが生まれるのですね。

(大西)その通りです。自分自身しか行動を変えることはできません。相手からどう見られているのかを意識し、行動を変えていくことが、ペルソナ設定を成功させる秘訣です。

表面的には、相手の仮面を考えることがペルソナ設定だと思われがちですが、実際は「どんな患者に来てほしいか」を「どんな患者に褒められたいか」と言い換えるだけで、患者目線で物事を考えられるようになります。

「患者目線」「患者第一主義」とはよく言いますが、ペルソナ設定は、その考え方をより分かりやすく実践するためのツールと言えるでしょう。

ペルソナ設定と自己分析

(高山)ペルソナ設定は、自分の強みを考えることの裏返しとも言えそうですね。

(大西)そうですね。ただ、自分が強みだと思っていることは、必ずしも患者さんにとっての強みとは限りません。

自分が凄いと思っていることをホームページに書いても、独りよがりかもしれません。

これは「陰褒め」と同じで、他人から「あの人、ここが凄いよね」と言われることで初めて、真の強みとなるのです。

周囲から認められているということが重要なのです。自分ができることを発信するだけでなく、相手が何を求めているのかを理解し、どうすれば評価され、喜ばれ、人気が出るのかを考える。

そして、それを実現するために、自分は何を提供できるのか、どんな行動をとるべきなのかを考え、実行していく。これがペルソナ設定に基づいたクリニック作りです。

第三者視点の重要性

(高山)なるほど。自分が患者さんにどう思われたいか、という理想と、実際にどう思われているのかという現実を常にチェックし、修正していくことが大切なのですね。

そして、人気クリニックになるためには、自分自身を深く掘り下げていく必要があると。

(大西)そうです。ペルソナ設定の研修では、まず先生やスタッフ全員に自己分析をしてもらいます。

自分の強みと弱みは何か、両方を出してもらいます。意外なことに、自分の弱みだと思っていたことが、実は患者さんにとっての強みである、というケースもよくあるのです。

「私は慎重で、引っ込み思案で、クヨクヨしてしまう」これが、患者さんにとっては「きっちりしている先生」という強みに変わるかもしれないのです。

ペルソナ設定は、自分自身を多角的に見つめ直し、捉え方を変えることで、新たな強みに気づかせてくれる作業でもあります。

ペルソナと理念

(高山)ペルソナを考えることは、自分の理念を考えることにも繋がるのですね。

(大西)おっしゃる通りです。ペルソナ設定は理念を考えること、理念を考えることは自分自身を振り返ること、そしてそのプロセスの中で初めて、患者という存在が見えてくるのです。

クリニックを開業する際に、ペルソナ設定、ひいては自分自身の棚卸しを徹底的に行うことで、本当に良いクリニックを作ることができるでしょう。

これはとても大変な作業ですが、スタッフと一緒に取り組むことで、より良い結果に繋がるはずです。

理念は、過去の経験、現在の状況、そして未来のビジョン、これら全てを組み合わせて作られるものです。

過去の経験から、なぜ医者を目指したのか、なぜクリニックを開業したのか、その原点に立ち返り、自分自身と向き合うことで、ペルソナ像が見えてくるはずです。

具体的なペルソナ設定の例

(高山)具体的なペルソナ設定の例があれば教えていただけますか?

(大西)私がコンサルティングを行った先生に、膵臓癌の専門医の方がいました。

その先生は、過去に膵臓癌で亡くなった患者さんをたくさん見てこられた経験から、「あと半年早く発見できていれば、命を救えたかもしれない」という思いを抱えていました。

そして、患者さんのご家族の悲しむ姿を見るたびに、「なんとか救いたい」という気持ちが強くなっていったそうです。

この強い思いが、患者さんやご家族に伝わったことで、その先生のクリニックには多くの患者さんが集まるようになりました。

つまり、この先生のペルソナは、「膵臓癌で苦しんでいる患者さんとその家族」であり、理念は「膵臓癌の早期発見によって、一人でも多くの命を救いたい」というものでした。

ホームページにも、このエピソードを掲載することをお勧めしました。

患者さんのニーズに寄り添う

(高山)患者さんを「集めたい」ではなく、「救いたい」という思いが、ペルソナ設定、そしてクリニック作りにおいて重要なのですね。

(大西)その通りです。困っている患者さんをただ集めるのではなく、その患者さんとご家族を救いたい、いち早く見つけて適切な医療を提供したい、という思いが大切なのです。

そして、この思いこそが、ペルソナ設定、ひいては理念に繋がっていくのです。

ペルソナ設定と自己認識

(高山)ペルソナ設定で大切なことは何でしょうか?

(大西)ペルソナ設定は、実は自分の理念を明確にする作業でもあります。多くの人は、自分の内なる思いを言葉にすることが苦手です。

そのため、常に「なぜ?」「どうして?」「本当に?」と自問自答し、自分自身と向き合う時間を持つことが大切です。

ある考えが浮かんだ時、「なぜそう思ったのか?」「どのように実現していくのか?」「本当にそれが自分の言葉なのか?」を繰り返し自問自答することで、思考が整理され、言葉として表現できるようになります。

そして、この言語化こそが、ペルソナ設定の肝となるのです。

まとめ

(高山)ペルソナ設定は、クリニックの作り方の第一歩なのですね。

(大西)はい。ペルソナを考えることは、理念を明確にすることであり、自分自身を振り返る作業でもあります。

そして、このプロセスを通して初めて、患者という存在が見えてくるのです。

ぜひ、ペルソナ設定を通して、自分自身の理念と向き合い、患者さんに本当に必要な医療を提供できるクリニックを目指してください。

(高山)今回はペルソナについてお話を伺いました。続きは次回にしたいと思います。ありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ 今回もお聞きいただきましてありがとうございました。

この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。

この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

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