今後のオンライン診療活用(前編)自費診療の台頭_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード71全文書き起こし

今後のオンライン診療活用(前編)自費診療の台頭_Podcast『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン1_エピソード7全文書き起こし

PODCASTエピソードはこちら

DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。

(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第71回始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。

(大西)よろしくお願いします。

(高山)今日のテーマは何でしょうか?

今回のテーマ:10年が経過したオンライン診療の現在地

(大西)オンライン診療というと、2018年に保険適用が始まりましたが、実は歴史的に見ると2015年頃からスタートしていました。

もう10年ほど経ち、今どういう状況になっているのか、というお話ができればと思います。

(高山)そうですね。私たちドックウェブも、2018年にオンライン診療が保険収載された際にイベントを開催しました。

オンライン診療をテーマに「どう活用すべきか」といった内容でしたが、大変盛況でした。

その後はあまりイベントをやれていないのですが、また今後何かテーマがあれば開催したいと思っています。

お聞きの先生方も何かご要望があればコメントいただけると嬉しいです。ではこの後、オンライン診療についてお話していきたいと思います。

(大西)お願いします。

(高山)さて、2018年以降のオンライン診療ですが、私自身あまり動向を追えておらず、現状がどうなっているのか気になります。

(大西)昔に比べると、オンライン診療は算定できる点数も広がり、初診から利用可能になったり、医学管理料が算定できるようになったりしています。

検査や処置は算定できませんが、医学管理料や処方箋料、そして初再診料は算定できるようになったので、活用の幅は広がってきたかと思います。

コロナ禍で加速したオンライン診療の利用

(高山)そうですね。特にコロナ禍では私もお世話になりました。自宅で感染してしまった際、オンライン診療が可能なクリニックを探したところ、私が住む江東区から世田谷区のクリニックにつながりました。

迅速に対応してくださり、薬も配送で届けてもらって無事に回復した経験があります。家から一歩も出ずにすべてが完結し、非常に良い体験でした。

(大西)初診からオンライン診療が使えるようになったのは、2020年4月のコロナ禍における緊急事態宣言に合わせて許可されたのがきっかけです。

あの時に初診料がオンラインで算定できるようになったのは画期的でした。当時は電話診療もオンライン診療も認められていました。

国としても、外出できない状況下でクリニックに電話をかけるかオンラインで受診し、薬を受け取れる道筋を作ったわけです。

制度改定とオンライン診療の課題

(大西)その後、2020年、2022年、そして2024年の診療報酬改定を経て、ルールも変わってきました。

初診からの利用は可能ですが、睡眠薬や向精神薬などリスクの高い薬は初診で処方してはいけないという「ネガティブリスト」が作られました。

また、当初問題になったのが距離の問題です。同じ都内ならまだしも、初診なのに北海道と東京といった事例が出てきてしまいました。

そこで、初診時は患者さんが通える、あるいは医師が訪問できる範囲内に限定するというルールに改善されました。

(高山)ありましたね。その距離が具体的にどのくらいなのか、明確には定義されていなかった記憶があります。

(大西)最初は「30分で行ける範囲」とされていましたが、測りようがないため、少し曖昧なままになった部分もありますね。

そうこうしているうちに使いやすくなっているはずなのですが、保険診療の領域ではだんだんと下火になっています。なぜだと思いますか?

(高山)やはり、保険だと点数が低いからではないでしょうか。

(大西)点数の割に、手間が多かったのです。

(高山)確かに、私がコロナで受診した際も、説明にかなり時間をかけていただいて、これは細かくて大変そうだなと感じました。

(大西)現在も、保険証の確認、マイナンバーカードの確認、そして決済など、まだ完全にはスムーズになっていない部分があります。

国は、電子処方箋が普及すればオンライン診療はもっと伸びると考えているようです。

今は処方箋をやり取りするために、オンライン診療システム内でスキャンしてアップロードするといった手間が必要です。

これが電子処方箋になれば、薬局とクリニックが直接やり取りできるため、利便性が向上するでしょう。

また、今年の9月からは、保険証の情報をマイナンバーカードに取り込み、スマホで持ち歩けるようになります。

カード本体を持ち歩く必要がなくなるので、このあたりも少し影響するかもしれません。いかに手間を減らすかが、普及の大きな鍵ですね。

活路は「自費診療」にあり

(大西)様々な事例が蓄積される中で分かってきたのは、どうやら自費診療の方が収益性が高い、ということです。

(高山)自費なら自分で価格を設定できますからね。

(大西)その通りです。ED治療薬やAGA治療薬、最近ではダイエット薬(痩せ薬)や漢方などを自費で提供するクリニックが増えており、現場では徐々に広がりを見せています。

(高山)そういった診療を専門的に、かつオンラインで提供することを主軸に据えるクリニックも増えているのでしょうか。

(大西)増えていますね。もっと言うと、自費診療を専門にするクリニックが非常に増えています。

なぜ患者は「自費診療」を選ぶのか

(大西)少し変わったニーズかもしれませんが、患者さん側にも「保険でやりたくない」という需要があるのです。

(高山)保険を使いたくない、ですか。

(大西)例えば、ED、AGA、痩せ薬といった治療では、保険証を提示しない方が多いです。

(高山)それはなぜでしょう?

(大西)家族に知られたくない、という理由が考えられます。また、若い世代だと親の扶養に入っていることが多く、「この痩せ薬のお金は何?」と親に聞かれたくない、といったケースもあります。

だから保険を使わない。あるいは、保険適用の条件を満たしていないけれど薬が欲しいという方もいます。その場合は自費で処方するしかありません。

(高山)適用外だけれども、処方すべき患者さんがいるということですね。

(大西)そうです。例えば、ある薬を保険適用で処方するには、BMIの基準を満たし、採血を行い、体重の変化を記録し、それでも痩せない場合に処方する、といった厳密な手順が必要です。

しかし、自費診療のクリニックでは、これらのプロセスを経ずに処方できてしまうのが現状です。保険診療のルールに縛られないからです。

(高山)患者の思いとしては、「痩せ薬は自費でもいいからすぐに処方してほしい」というところでしょうね。

(大西)その通りです。例えば「1ヶ月で10kg痩せる薬」があるなら、今日にでも欲しいわけです。

その際に
「あなたは保険適用外なので自費になりますが、よろしいですか?」というやり取り自体を面倒に感じる方もいます。「最初から自費でいいから早くください」と。

オンライン診療と漢方の親和性

(高山)先ほどお話に出た漢方も、オンライン診療と非常に相性が良さそうだと直感的に感じます。

(大西)そうですね。漢方は市販薬として薬局で直接購入できるものも20~30種類ありますが、市販薬は10割負担、保険薬は3割負担です。

診察を受けた方が安く手に入ることを考えれば、漢方もオンライン診療に向いています。

(高山)漢方は即効性のあるものもありますが、習慣的に飲み続けて体質を改善していくイメージがあるので、リスクが低いものが多く、オンライン診療に適している印象です。

(大西)そこがポイントです。もう一つ付け加えるなら、「定期配送」という仕組みがあります。

(高山)定期配送ですか。

(大西)例えば、毎月決まった量を送ってもらう形にすれば、一度手続きするだけで済み、非常に楽です。これも自費診療ならではのサービスですね。

(高山)年払いのような仕組みもあるのでしょうか。

(大西)ありますね。

(高山)もはや通販の世界ですね。

(大西)その通りです。年払いにすると少し割引があったりします。

(高山)医療の世界に割引があるとは。

(大西)自費なら可能です。ポイントが貯まることもありますし、誕生日にはプレゼントが届くことさえあります。

(高山)医療の通販がもう始まっているのですね。

(大西)ですから、SNSやインターネットに強く、マーケティング能力のある先生なら、いくらでもやり方を考えられます。

(高山)面白いですね。ニーズは確実にありますし、市販薬で済むものもあるでしょうが、やはり医師の診断のもとで処方してもらいたいものです。
特に漢方は素人では判断が難しいですから。

(大西)正しく服用したいですよね。

(高山)漢方薬局に相談する手もありますが、少し現代のスタイルとは違う感じもしてしまいます。

(大西)漢方薬局はまた少し特殊で、中国の「漢方医」は国家資格です。舌や手のひらを見て診察しますが、錠剤ではなく生薬を煮出したり、その場で調合したりするので、少し古い印象を受けるのかもしれませんね。

「漢方は副作用が少ない」というイメージもありますが、専門の先生に言わせれば、一概にそうとは言えないようです。

慢性疾患治療がオンライン診療の鍵

(大西)先ほどお話ししたように、「定期的に服用する」というのがキーワードで、これが自費診療に向いている理由です。

(高山)なるほど。

(大西)急性疾患は1回、あるいは5日間といった短期間で治療します。一方で、慢性疾患では毎月薬が処方されます。

この毎月処方される薬の受け取り方をどう効率化するかが、オンライン診療活用の鍵となります。

(高山)なるほど。これは全国の先生方も注目すべき点ですね。

(大西)患者さんが受診する際の利便性を高めれば高めるほど、そのクリニックが選ばれるようになります。

これからオンライン診療は、まさに戦国時代に突入するでしょう。

(高山)今後のオンライン診療の活用法や国の方向性については、後半でさらに詳しくお聞きしたいと思います。

今回は、「自費診療の領域でオンライン診療が盛り上がりを見せている」というお話でした。

ということで、続きは次回にしたいと思います。大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)ありがとうございました。

この番組への感想は「#院長が悩んだら聴くラジオ」でXなどに投稿いただけると嬉しいです。番組のフォローもぜひお願いします。

この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。

他の記事を読む  TOPへ戻る

開業準備や開業後に役立つメルマガを定期的にお届けします

DOCWEBでできること
  • 開業に役立つ記事・動画が見放題
    DOCWEB限定動画や厳選された情報で、円滑な開業準備をサポート!
  • クリニックに合った製品・サービスがすぐに見つかる
    手間なく、効率的に情報収集。DOCWEBならではの充実した比較・検討が可能!
  • 気になる製品・サービスの資料を無料ダウンロード
    詳細情報をすぐに確認でき、納得の選択ができる!
この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。