アフターコロナのクリニック経営#4

#4 積極的な情報発信は患者さんから選ばれるための秘訣

Q .患者さんに積極的に情報をお届けしたいと思います。どのような方法が良いでしょうか?

A .あらゆるメディアを活用して情報発信しましょう。その中でもホームページ・ブログの活用は大変有効です

患者さんから選ばれるためには患者さんが知りたい情報、必要とする情報、役に立つ情報などをわかりやすく伝え続ける必要があります。
そのために利用できるメディアはたくさんあります。
・ホームページ
・ブログ
・Youtube
・SNS
・看板
・電車、バスの車内掲示、放送
・コミュニティ紙
・院内掲示
・院内資料
・院内サイネージ
・医院紹介冊子、カード

等々、考えればまだまだたくさんあるのではないでしょうか。
費用対効果を考えながらこれらのメディアをできる限り活用しましょう。そして、どのメディアを使うと成果が出るのか、出ないのかを確認しながら成果が出るものに力を注ぎ、出ないものはやめていきましょう。

ここで理解していただきたいことは、ダメなメディアはなく、ダメな情報があるだけだということです。
良い情報はどんなメディアで発信しても効果が出ます。その情報のメッセージが伝わると患者さんは自院に共感し、受診を検討するのです。どのような情報が患者さんの役に立つのか、その内容を考えアウトプットすることが重要なのです。
(できる限り多くのメディアを使うと良いのですが、費用対効果や手間などを考えながら現実的な選択をしましょう。)

患者さんの役に立つ、患者さんが必要としている情報とは何か

診療科目や、場所、アクセス、診療時間などの基本的な情報、病気や症状、治療方法、自院の診療に対する考え方やサービスなど様々な情報を患者さんは求めています。

基本的な情報は当然必要ですが、それ以上に患者さんにとって大切な情報は何か。患者さんの心理を探りながら考えてみましょう。
患者さんがクリニックの情報を必要とするのは、体調が悪い時、何らかの健康上の不安を感じている時です。
そんな時には患者さんは自分の不具合の原因は何なのか、その不具合を解消する方法はあるのかなどを知りたいと切実に思っています。健康は人間にとって最大の関心事なのです。そのような時に、患者さんが困っていることを解決したり不安を解消できる情報を提供できたらどうでしょう。大いに喜び、安心し、その情報を提供してくれた人に感謝するのではないでしょうか。
その提供者がクリニックであれば、当然受診を検討することになるでしょう。このような状況を整えることで自院が患者さんから選ばれるようになるのです。

情報を提供する時に適切なメディアとは

それはホームページやブログなどインターネットを通じて見ることができるメディアです。現代はスマホ社会で患者さんは具合が悪いとすぐにスマホで検索して情報を探します。患者さんにとって最も利便性が高く利用率が高いメディアなのです。
また、ホームページ・ブログは他のメディアと比べて費用対効果が高くなります。
制作時には経費がかかりますが、その後はほとんどかかりません。経費をかけずに多くの患者さんに大量の情報を発信することができるのです。近頃はインターネットで検索して来院する患者さんの割合が高くなっています。
私のクライアント様では、インターネット経由の受診者の割合が最も高く、全体の4割から多い時には7割以上にものぼることがあります。
また、しっかり作って多くの情報を発信しているホームページであれば月間1万件から数万件のアクセスを得ることも可能です。

どのような情報を発信すれば良いのか

私は患者さん一人一人の状況にピンポイントでマッチする情報を提供することをお勧めしています。
具体的な症状別の情報を発信するということです。この方法を活用するにはブログが有効です。(ブログ機能を組み込んだホームページをイメージしてください。)

ホームページの固定ページでは基本的な情報を提供し、患者さん一人一人にマッチする情報はブログで提供するという考え方です。患者さんは体調が思わしくないとスマホですぐに検索をします。

例えば「咳が出て夜眠れない 吐きそう」などという具体的なキーワードで。そして、検索された情報が自分が欲しいもの、自分の状態と似たもので、その原因や改善できる可能性があることが分かったらどうでしょうか。安心するとともに、その情報提供者に感謝するのではないでしょうか。
日々診療する中で、最近こんな症状の患者さんが多いな、同じことを繰り返し患者さんに話しているな、などということがあればその情報を伝えてください。それらの患者さんの後ろには同じような症状で困っている方がその何倍もいるはずです。その方々が必要とする、助かる情報を提供してください。

しかし、ブログを書くことにメンタルブロックがあり書けないという方もいます。
自分なんかまだまだだから、立派な先生がおられるのに自分なんか、間違って非難されたらどうしよう・・・などとためらっていることが多いのです。これはブログを医療者に向けて書くと考えているからです。クリニックのブログは困っている患者さんに向けて書くものです。ですので、難しいことを書く必要はありません。医療者にとっては当たり前で間違えようのないことを中学生にも理解できるようにわかりやすく書いてください。それが患者さんの役に立ち、結果として自院の経営にも良い影響を与えてくれるのです。

プロフィール

近藤隆二(こんどう りゅうじ)

1957年生まれ

医業経営コンサルタント

ファイナンシャルプランナー(CFP)

一般社団法人 医業経営研鑽会 副会長

https://www.doctor-dock.jp

これまでに200件以上のコンサルティングと、50院以上の顧問契約を締結。決めつけを嫌い、さまざまな状況に応じたフレキシブルなコンサルティングを行っている。

クリニック開業後に苦戦する事例を数多く目にしてきた経験から、よい経営の方法を知らない先生のために、セミナー・執筆活動やブログ、動画セミナー、メールマガジンなどを利用し積極的に情報を発信。

院長先生をはじめスタッフも患者さんも幸せになれる、良いクリニックづくりを陰から支えていくことが役割であり使命。

「人が自分らしく自分の人生を生きる」 ことを実現させる手段として、開院を希望するドクター、開業医のための「クリニック経営講座(動画)」を配信中。