「昭和大学」と「富士通Japan」、電子カルテシステムの診療データから疾病を予測する診療支援AI技術の開発に向けた共同研究を開始

学校法人昭和大学(所在地:東京都品川区、理事長:小口 勝司、以下「昭和大学」)と富士通Japan株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:砂田 敬之、以下「富士通Japan」)は、医師の診断支援による医療水準の均てん化(※1)や診療業務の効率化を目指し、昭和大学横浜市北部病院(所在地:神奈川県横浜市、病院長:門倉 光隆)の臨床現場において、電子カルテシステムに入力された診療データから即時に疾病を予測し、治療方針の候補などを医師に提案する診療支援AI技術の開発に向けた共同研究を9月より開始する。

本共同研究では、医療分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)を通じた患者サービスの質の向上を目指し、主訴や患者所見などの電子カルテシステムに記載されたテキストデータと病院に蓄積された過去の診療データから総合的にデータの関連性、類似性を数値化し、疾患分類を評価する新たな診療支援AI技術を研究開発する。これにより迅速な鑑別診断(※2)を可能とし、診療業務の効率化を実現する。さらに、昭和大学の倫理審査で承諾を得た昭和大学横浜市北部病院が保有する匿名化された診療データを用いて、開発したAI技術の有効性の検証と評価を行い、同病院での本運用に加え、他の昭和大学附属病院に向けたサービス提供や研修医向け教育コンテンツへの展開など、昭和大学病院グループの診療全体への寄与を目指す。

背景

国内の一般病院における電子カルテシステムの普及率は60%(※3)に近づきつつあり、昨今、蓄積された診療データの利活用は、大学病院などの大規模医療機関における研究分野にとどまらず、診療や経営の改善に向けた統計データとしての活用など、ヘルスケア業界をはじめとする様々な業界で期待が高まっている。

共同研究について

本共同研究で開発する診療支援AI技術により、診療業務の効率化や重要な疾患の見落とし防止など、医師を幅広く支援するとともに、医療水準の均てん化にも貢献する。さらに、電子カルテシステムとの連携による診療業務の効率化や、医療従事者の働き方改革を支援する新たな仕組みの構築などの医療分野におけるDXを推進していくことで患者サービスの質の向上につなげていく。

1.研究概要
(1) 診療支援AI技術の新規開発
昭和大学横浜市北部病院が保有する過去20年分の電子カルテシステムに蓄積された診療データと、同病院の専門医による医学的知見やアドバイスを基に、主訴や患者所見などの電子カルテシステムに記載のテキストデータを汎用的な自然言語処理技術で解析し、鑑別診断候補となる疾患分類をスコアリング評価した結果と過去の診療データを組み合わせて、総合的にデータの特徴量を算出し、類似症例検索アプローチによる疾患候補の提案を行う診療支援AI技術を富士通Japanが新規開発。

(2) 臨床現場での検証と評価
昭和大学横浜市北部病院の臨床現場における診療支援AI技術の有効性の検証・評価。

2.期間
2022年9月から2023年3月まで

3.場所
昭和大学横浜市北部病院

今後の展望

昭和大学は、富士通Japanとともに、本共同研究で開発するAI技術を2022年度中に臨床現場に適用し、有効性の検証を進め、継続して患者本位の医療や高度な医療の推進、医療人の育成を目指す。
富士通Japanは、本共同研究を通じて2022年度中にAI技術を開発し、昭和大学における診療業務の効率化を支援するとともに、今後もさらなる精度向上を図り、全国の医療現場での適用を推進していく予定。

※1:主に医療政策の分野で用いられる言葉で、全国どこでも誰でもが等しく利益を享受できるよう、医療技術などの格差の是正を図ること。
※2:医師の診療業務で用いられる言葉で、患者の訴えや検査結果などから可能性がある病気を比較しながら見極めること。
※3:出典 医療施設調査(厚生労働省)「電子カルテシステム等の普及状況の推移(令和2年版)」令和2年時点:57.2%。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/20/                                   

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