整形外科クリニック開業を成功に導く電子カルテ7製品を徹底比較【一覧表あり】

整形外科クリニック開業を成功に導く電子カルテ7製品を徹底比較【一覧表あり】

整形外科クリニックにおける電子カルテの役割

整形外科診療には、レントゲンやMRIなどの画像検査を頻繁に用いること、理学療法士や作業療法士など多くの専門職が診療に関わること、そして診察のないリハビリ目的の来院患者が多いといった特徴があります。

このような特性を持つ整形外科クリニックにとって合理的な電子カルテとはどのようなものでしょうか?
本記事では実際の整形外科クリニックを営む医師の声を参考に、選択のポイントをまとめています。整形外科クリニック向きの電子カルテの具体的な製品とその特徴をわかりやすくご紹介します。

電子カルテの選びのポイント

  • 画像検査機器との連携
    整形外科診療では画像検査が診断の要となります。PACSとの連携により、レントゲンやMRI、CTの画像をカルテ内で即座に確認できることが重要です。
    また、エコー画像の取り込みや、スマートフォンで撮影した患部画像をカルテに保存できる機能があると、治療の経過観察がさらに簡便になります。
  • リハビリ・経過管理
    整形外科クリニックでは、リハビリテーション科を併設するケースも多く、リハビリスタッフの進捗記録(リハビリカルテ)と医師の診察所見を一元管理できる電子カルテは大変便利です。関節可動域や筋力評価といった記録を視覚的に確認できる機能は、リハビリ計画の立案や修正に役立ちます。
    また、訪問リハビリを行う場合には、患者宅でリハビリの経過を撮影・記録する機能も、記録の正確性や効率向上に貢献します。
  • 診療形態への対応
    整形外科クリニックでは、医師、検査技師、理学療法士・作業療法士といった各部門のスタッフが、同時に同一患者のカルテを参照・編集できる機能も重要です。チームで患者情報を共有しながら、現場での対応が円滑に行えるシステムを選ぶと良いでしょう。
    また、外来診療を主体としているクリニックでも、将来的に訪問診療や訪問リハビリの拡充を検討している場合には、持ち運びが可能なタブレット端末でカルテにアクセスできる機能や、オフライン環境でもカルテの閲覧・入力が可能な電子カルテが便利です。これにより、患者宅での診療やリハビリをスムーズに行うことができ、診療の幅が広がります。
  • 保険・自費診療切り替え
    整形外科診療では、保険診療に加えてスポーツ医学的アプローチや自費診療を提供するケースも増えています。カルテ上で保険診療と自費診療を簡単に切り替え、各診療内容を明確に管理できる機能があると、診療の流れがスムーズになり、運営効率の向上にもつながります。

整形外科開業医の実際の体験談

A医師
A医師

スマホで患部の腫れや可動域を撮影してそのまま保存できる機能が、経過観察に便利でした

B医師
B医師

とにかく画像の扱いが多く患者数も多いので、サクサク処理してくれるシステムが強いカルテを選びました。

C医師
C医師

PACSとの連携でレントゲン室と診察室を行き来する必要がなくなって効率化されました。

D医師
D医師

スポーツ外傷など自費診療も行うので、保険診療と自費診療の切り替えが簡単なものを選びました。

整形外科向け電子カルテ一覧・比較表

整形外科クリニック向け電子カルテ比較一覧表

整形外科クリニック向け電子カルテ比較一覧表

項目 CLIUS M3DigiKar MAPs for CLINIC きりんカルテ ユビキタス電子カルテ BrainBoxVⅣ Hi-SEED W3 EX
メーカー名 株式会社DONUTS エムスリーデジカル株式会社 株式会社EMシステムズ ウィーメックス株式会社 セコム医療システム株式会社 株式会社湯山製作所 ウィーメックスヘルスケアシステムズ
クラウド/オンプレ クラウド クラウド クラウド クラウド クラウド オンプレ オンプレ
初期費用 20万円~(0円プラン有) 0円 0円 30万円~ 要お問い合わせ 要お問い合わせ 要お問い合わせ
月額費用 1.2万円~ ORCA連動型:11,800円~
レセコン一体型:24,800円~
20,000円/1接続
追加1接続あたり5,000円
WebORCA利用料+保守点検費22,800円~ 要お問い合わせ 要お問い合わせ 要お問い合わせ
レセコン一体型/連携型 ORCA一体型 ORCA連動型/
レセコン一体型
レセコン一体型(ORCA連携型選択可) WebORCA連携 ORCA・ML-A連携 介護ソフト「給管帳クラウド」と連携 レセコン一体型
サポート メール、電話、遠隔サポート サポートセンター、リモート対応
プレミアムプラン有
全国各地にサポート拠点
訪問サポート可
無償チャット、有償訪問保守 電話サポート
WEBシステム問い合わせ
リモートサポート
全国のアフターサービス拠点
専用コールセンター
サポートセンター
リモートメンテナンス
資料

整形外科向け電子カルテ製品詳細情報

CLIUS(クリアス) /株式会社DONUTS

価格初期費用 20万円~  (初期費用0円、訪問サポートなし、ご自身で導入を行うプラン有)
月額費用 1.2万円~
機能性ORCA一体型、クラウド型。
基本料金で在宅機能・WEB予約・オンライン診療・WEB問診・経営分析機能の利用が可能
操作性一つの画面の中に必要な機能・情報が整理された見やすい画面表示・UI
連携機器・システム連携実績300種類以上
サポートメール、電話、遠隔サポート(遠隔接続での確認・電話サポート)
医師のコメント”ゲームをいくつも開発している会社さんであれば、サーバーやシステム面も太いだろう、安定しているだろう
と思えました。”
”iPhoneで撮影した画像を簡単にカルテに取り込むことができるので、切り傷やブツブツしたできものの
経過を簡単に確認することができるのもいいです。”
【出典:https://clius.jp/

編集者コメント:ゲーム事業も手掛ける株式会社DONUTSの電子カルテCLIUSは、システムや操作性の良さが評価されています。また、上乗せ費用なしで、WEB予約、WEB問診、在宅、オンライン診療、のオプション機能を利用可能で、コスパよく業務の煩雑さを軽減できます。

CLIUSのインタビュー記事はこちら

M3DigiKar(エムスリーデジカル)/エムスリーデジカル株式会社

価格初期費用 0円
月額費用 ORCA連動型:11800円~  レセコン一体型:24800円~
機能性AI自動学習機能で入力時間を80%削減
予約から決済までの機能をまとめた「デジスマ診療」とのシームレスな連携
ログインIDで認証
操作性マニュアルいらずの簡単操作
ipad proアプリの活用で紙カルテを超える書き心地を実現
連携予約から会計まで90以上のサービス・機器と連携
サポートサポートセンターによる電話・メールでのリモート対応、サポートを充実させたプレミアムプランあり
医師のコメント”履歴からDo処方もできるし、自動学習機能のおかげで初診患者も数クリックでカルテが入力できます。”
”代理店による導入支援とサポートを申し込みましたので、画像ファイリングシステムや検査会社との連携も
お任せし、私は開業準備に専念できました。”
【出典:https://digikar.co.jp/】

編集者コメント:M3DigiKarはクラウド型電子カルテトップシェアで、実績への信頼感から選ばれる先生が多いようです。セット登録いらずの自動入力機能は、整形外科のように同じ疾患や症状を訴える患者が多いクリニックで特に役立つ機能です。

MAPs for CLINIC(マップスフォークリニック)/株式会社EMシステムズ

価格初期ライセンス費用 0円(初期ハード機材もお客様調達可能)
月額費用 20,000円/1接続(追加1接続あたり5,000円)
機能性レセコン一体型(ORCA連携型と選択可能)
オンプレ型のように柔軟なカスタマイズが可能
それぞれの診療科に合わせた機能選択、障害発生時に過去記録分のデータ参照
操作性オンプレ版に負けない視認性の良さ、画面上タブ・複数ウィンドウを実現
連携多数の検査機器や検査センターと連携可能
サポート全国各地にサポート拠点あり、訪問サポート可能。PCが苦手な方にも好評
医師のコメント”電子カルテシステムを中心として、ドクター、理学療法士、受付、その他スタッフ間で情報連携がスムーズ”
”整形外科は1日あたりの来院患者数が多く、取り扱う画像データも多いですから、画像システムとの連携など
たくさんのデータを効率よく処理する機能に一番の重点を置いて選んだ”
【出典:https://service.emsystems.co.jp/maps_series/for_clinic/】

編集者コメント:アプリケーション版での開発により、オンプレ型に負けないカスタマイズ性・操作性が魅力の電子カルテです。ネットワーク障害発生時でも過去カルテ参照と一部入力が可能で非常時でも安心です。クラウドで安価な価格帯ですが、訪問サポート可能な点もポイントです。

きりんカルテ /ウィーメックス株式会社

価格初期費用 30万円~
月額費用 きりんカルテ利用料0円、WebORCA利用料+保守点検費22800円~
機能性WebORCA連携
Google LLCのGoogle Cloudサーバを利用し安心のセキュリティ、予約/在宅機能標準搭載
操作性撮影用アプリで簡単に画像アップロードが可能、自由診療と保険診療を1クリックで切り替え
紙カルテのような書き心地の手書き機能搭載
連携各検査会社とのデータ連携可能
サポート無償チャットサポート、有償のパートナー代理店よる訪問保守・サポート可能
医師のコメント”医療用画像管理システムPACS(Picture Archiving and Communication Systems)との連携でしょうか。
わざわざレントゲン室と診察室を行き来する手間もなくなって助かっています。”
”「⾃由診療カルテ」は「保険診療カルテ」と1クリックで切り替えができ、作成・管理できる点が
とても便利ですね。”
【出典:https://xirapha.jp/】

編集者コメント:カルテ利用料0円のきりんカルテは、ランニングコストを低く抑えたい・画像取り込みや検査会社との連携など最低限の機能はしっかり押さえたい先生におすすめです。自由診療と保険診療切り替えが簡単なので、それぞれの患者さんが混在する整形外科クリニックにもおすすめです。

きりんカルテのインタビュー記事はこちら

ユビキタス電子カルテ /セコム医療システム株式会社

価格初期費用 要お問い合わせ
月額費用 要お問い合わせ
機能性金融機関データも管理する災害時も安心のデータセンター、毎日院内PCにバックアップデータをコピー
同一法人内でカルテ情報共有できる患者統一ID機能
操作性医師・スタッフごとに合わせた画面カスタマイズが可能
連携透析支援システムやリハビリシステムなど部門システムとの充実した接続が可能
サポート電話サポート、WEBシステムからの問い合わせ、リモート操作によるサポート
医師のコメント”リハビリカルテの見やすさを高く評価している。””外出先から、しかもiPhoneでもカルテの確認ができ、
たいへん便利です。”
”診療にMRIやエコー、レントゲンなどの画像を使う頻度が高く、それらが共有しやすい点も評価”
【出典:https://medical.secom.co.jp/it/karte/ubiquitous/】

編集者コメント:ユビキタスは在宅・無床クリニックから中小病院までカバーする電子カルテです。セコムの堅牢なセキュリティとデータセンターで、万が一の災害時も診療を継続することができます。部門システムとの連携が強みでリハビリ等別部門にシステムを持つ整形外科クリニックにおすすめです。

セコムのユビキタス・OWELのインタビュー記事はこちら

BrainBoxV4(ブレインボックス)/株式会社湯山製作所

価格初期費用 要お問い合わせ
月額費用 要お問い合わせ
機能性オンプレ型。
AIがカルテ・レセプトの内容を分析し、他のオーダー候補を提案
次回診療時のカルテ内容を事前に記載が可能、WEBカルテ機能(オプション機能)
操作性当月分と過去3回分のレセプトを並べて表示
画面・操作方法・メニュー・コマンドの選択がカスタマイズフリー
連携日本医師会ORCA管理機構が提供する介護・訪問看護ソフト「給管帳クラウド」と連携可能
サポート全国のアフターサービス拠点、専用コールセンターによるリモートメンテナンスも充実
医師のコメント”筋力測定の数値をエクセルシートに保存することで、BrainBoxVⅢの画面でも確認できるようカスタマイズしてもらいました。便利になりましたし、カスタマイズをしてもらえる点は魅力に感じています。(BrainBoxVⅢの活用事例より)”
【出典:https://www.yuyama.co.jp/product/products/brainboxV4.html】

編集者コメント:独自のカスタマイズ性の高さが魅力の、ユヤマが提供する「BrainBoxシリーズ」のクリニック向けオンプレ電子カルテの最新版でAI搭載されています。スピーディな入力が可能、算定漏れやオーダー漏れも防ぎます。全国にアフターサービス拠点があり、手厚いサポートを受けながら使いやすくカルテをカスタマイズしたい先生におすすめです。

Hi-SEED W3 EX(ハイシード ダブリュースリー イーエックス)/ウィーメックスヘルスケアシステムズ 

価格初期費用 要お問い合わせ
月額費用 要お問い合わせ
機能性オンプレ型。
レセコン一体型、レセプトチェックシステム「べてらん君collaboration Plus」、入力アシスト機能、算定漏れを自動チェック
操作性直感的でシンプルな画面設計。過去カルテを参照しながら記載可能
連携電子カルテを中心にさまざまなサービス・機器と連携。
クリニックのDXをウィーメックスヘルスケアシステムズがトータルサポート
サポートサポートセンターからリモートメンテナンス、安心バックアップサービス
診療報酬改定の際にはネット経由で自動ダウンロード
医師のコメント
【出典:https://clinics-cloud.com/karte】

編集者コメント:スタッフノート機能では、処置や検査のオーダ・実施の情報を画面上でやり取りできるほか、所見などの複数部門で相互にコメント記入・閲覧が可能で、医師・看護師・スタッフが常に同じ情報を共有することができます。レセプトチェックシステム「べてらん君collaboration Plus」が標準搭載され、算定漏れチェック・簡単にカルテ修正が可能な請求業務に強い電子カルテです。

まとめ

本記事では、整形外科クリニックにおいて求められる電子カルテの機能や選定ポイントについて、現場で活躍されている医師の声をもとに詳しく解説しました。
画像検査との連携やリハビリ管理、診療形態の柔軟な対応など、整形外科に特化した機能がクリニックの運営を支え、診療の質を向上させます。

ぜひこの記事を参考に、自院の診療スタイルに合った電子カルテを見つけていただければと思います。理想の医療環境を実現するための電子カルテ選びが、開業成功への確かな一歩となることを願っています。

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