中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」の提供を開始

継続的な社会課題の解決を目的に、医療DXの核心に挑む株式会社ヘンリー(本社:東京都品川区)は、中小病院向けクラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」の提供を開始した。
同社は、医療のルールが複雑で20年以上新たなシステムが生まれていなかった中でゼロから新しいレセプトコンピューター(会計システム、通称レセコン)を開発し、使いやすさにこだわった電子カルテを開発している。加えて、クラウド型として提供することで開発コストを抑え、既存システムの半分以下の値段での提供を実現した。既に複数の病院で導入を進めており、特に電子化が進んでいない中小病院を主なターゲットとし、2025年までに全国約7,500ある中小病院のうち10%の導入を目指す。

中小病院向け電子カルテ・レセコン「Henry」について

同社は、2019年よりレセコン・電子カルテの開発に着手し、2021年3月より外来(受付→診察→会計までを管理する)機能をリリース、クリニック向けにクラウド型電子カルテ・レセコンシステム「Henry」を販売してきた。内科、小児科などを中心に導入実績がある。
2022年6月に、入院機能を兼ね備えたクラウド型電子カルテ・レセコンシステムの開発を目的に資金調達を行い、今回の中小病院向け電子カルテのリリースに至る。既に、複数の病院で導入プロジェクトが進んでいる。
詳細はこちら
https://lp.henry-app.jp/

進まない電子化とその損失

医療業界は、デジタル化が進んでおらず、電子カルテの利用率は全体で約50%、200床未満の中小病院では約49%に留まっている(※1)。これは、OECDの加盟国でも最低水準である。

・電子化が進まない理由①:システムの複雑性
デジタル化が進まない要因の一つとして、日本の医療の国民皆保険制度と診療報酬制度の複雑性があげられる。日本は国民皆保険制度下、殆どの医療を公的医療保険を利用して提供している。医療機関のシステムの中心である電子カルテやレセプトコンピューター(会計システム、通称レセコン)は、保険制度や診療報酬制度のルールに則ったシステムである必要があり、複雑性が高い上に2年に1度の診療報酬改定に合わせて定期的な更新が必要になるため、システムの開発・保守の負荷が高いのが現状。そのため、現在も20年以上前に作られたシステムが主流となっている。

・電子化が進まない理由②:高額なコスト
電子カルテはオンプレミス型でカスタマイズすることが前提となっているサービスが多く、初期費用で5千万円〜数億円、5〜10年に一度システムの更新費用で初期費用の同額に近いコストがかかる。加えて保守のコストが必要になる。

・電子化が進まないことへの損失
カルテは医師が患者の状態をメモするだけではなく、看護師や薬剤師など他の専門職に的確に指示を出し、行われた医療行為を正しく会計に反映させるためのものであり、医療現場のワークフローの中心的存在である。伝達する情報の即時性や正確性に欠ける恐れがある紙でのオペレーションがまだ主流であることは、多くの病院で医療の質に改善の余地があることを示す。また、医療従事者の働き方改革が社会的課題になる中で、質の高い医療を継続的に提供する意味でも重要である。高齢化社会で年々医療のニーズが増加し続けている今の日本にとって、医療DXは急務だと言える。

諸外国では医療データを活用し、医療の質向上に役立てる動きが活発化している。日本でも、内閣官房が主導で2022年より「医療DX推進本部」が発足され、国も医療DXに本格的に取り組みはじめている(※2)。

同社の課題へのアプローチ

本質的に医療の業務改善を行うには、誰もが直感的に入力できる電子カルテを作り、事務作業の手間を極力無くすことが理想である。病院は、医師や看護師をはじめ作業療法士や薬剤師、医療事務など多くの専門職が連携しながら業務を行っており、理想の電子カルテをつくるにはそれぞれの職務に応じた個別最適と、行われた医療行為を正しく会計に反映させるための全体最適を同時に実現する必要があると考えている。これらを実現するため、レセコンを一から開発し、導入プロジェクトを一緒に進める医療機関と密にやりとりしながら、使いやすさにこだわって開発を進めてきた。

今後も、本質的な医療現場の業務改善を目指し、サービス改善・開発、および医療機関の導入・運用支援に努めていく。

※1:厚生労働省 医療分野の情報化の推進について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html
※2:医療DX推進本部
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/iryou_dx_suishin/index.html

本件に関するお問い合わせ先

株式会社ヘンリー
所在地: 東京都品川区東五反田2-9-5 サウスウィング東五反田 2F
URL:  https://corp.henry-app.jp/