クリニック開業直前〜開業後に必要なチェックリスト【不備ゼロで始める準備ガイド】

ダンドリ クリニック開業直前〜開業後に必要なチェックリスト【不備ゼロで始める準備ガイド】

不備ゼロでスタートするための実務対応と改善の工夫

クリニック開業は、計画が整った時点で終わりではありません。開業直前の数日間から、開業後しばらくの間に、運営に支障をきたすトラブルや抜け漏れが起こることも珍しくありません。
本記事は、「【完全ガイド】クリニック開業の手順と成功へのロードマップ」シリーズの最後、開業前後で必須の確認事項に焦点をあてた記事となっています。
すでに開業準備を整えた医師の方に向けて、開業直前から開業後の安定期までに必要なチェックポイントと、合理化・改善の工夫をわかりやすく整理します。

診療前最終稼働チェック(開業直前数日以内)

診療前最終稼働チェック
項目 具体内容
電子カルテ/レセコン 各端末ログイン確認、保険請求テスト送信、バックアップ体制(クラウド/外付けHDD)検証
医療機器 エコー・X線・心電計・吸引装置など全装置の電源投入・自己診断・エラー有無確認、必要に応じ取扱業者による事前点検
スタッフ研修 1日模擬患者対応(受付→診療→検査→会計)で動線・対応時間・課題を洗い出し、改善策を共有
物品準備 釣り銭(万札・五百円玉比率確認)、手袋・消毒液・ガーゼ等医療物資、診察券・問診票・案内サインの印刷・配置完了

物件引渡し後の不具合対応

物件引渡し後の不具合対応
項目 確認内容
電気・空調・換気・排水 スイッチ・ブレーカー・換気量・水量を各部屋で確認、温度・風量の実測も推奨
壁・床・窓・扉・配管 ヒビ・隙間・扉の動作不良・配管の漏れを目視と触覚で点検
避難標識・非常口 標識の見やすさ・照明の点灯・避難導線上の障害物の有無を確認
AED・消火器 設置場所・使用期限・破損有無・使用方法の周知を徹底
不具合対応 記録→写真添付→施工者・業者に即連絡、引渡し前保証での対応依頼

→ 不具合見つけたら、施工者・オーナー・専門業者に即連絡・保証対応依頼をします。

開業後〜初月の資金繰り管理

資金繰り管理
項目 確認内容
資金着金 融資金・運転資金が事業口座に着金しているか確認
支払予定 給与・リース料・業者支払い等の期日・金額を一覧化
収支管理 週次で収入・支出を記録し、収支見込みを算出(試算表)
遅延対策 カード決済・立替精算・支払い猶予などの代替手段を用意

診療フロー・動線の現場再検証

診療フロー・動線確認
項目 確認内容
患者動線 受付→診療→会計の動線をスタッフ間で歩行・再現し、導線上の障害や迷いがないか検証
案内表示 サイン・掲示の視認性と配置バランス、バリアフリー対応(手すり表示など)
家具再配置 可動式家具を活用して混雑時の流れを想定し、再配置で円滑な移動を実現

内装完成検査→不具合修正

内装完成検査
項目 確認内容
最終動作確認 照明・空調・フィルター・電動ドア・排水口などを通電・通水し正常動作を確認
竣工図との照合 照明・電源・設備が設計通りか現地を巡回し図面と対比
不具合記録 撮影・記録→業者に共有し、保証期間内対応依頼(書面残す)

行政届出・保健所対応

行政届出・保健所対応
項目 確認内容
提出書類 診療所開設届、保険医療機関指定届、X線設置届などの提出済確認
医薬品管理 麻薬・毒劇物を鍵付き保管庫へ、在庫記録簿の整備
機器点検記録 レントゲン等の定期点検履歴と業者発行記録を保管
個人情報保護 カルテ・クラウド情報の管理方針、職員研修記録
職員情報 免許証写し・雇用契約・健康診断書を整備、院内掲示
緊急設備 消火器・AED・非常灯などの設置・定期点検

全体のチェックポイント表(実施タイミング別)

開業チェックポイント表
時期 チェック内容 対応・備考
引渡後 電気・水・空調・給排水・避難標識の確認 不具合即記録・修繕依頼
完成検査時 竣工図対照・不具合記録 保証請求対応・再発防止
行政対応 届出書類・立入検査準備 文書・設備・研修体制の整備
開業直前 電子カルテ/機器試運転 異常なければ「稼働OK」スタンプ
開業後 動線検証→家具再配置・案内サインの設置/表示改善 患者の迷い・混雑を防ぎ、円滑な導線確保
初月 資金繰り週次試算 支出一覧・追加融資検討

開業後1か月間の運営フォローアップチェックリスト

開業後フォローアップ表
項目 確認・実施内容
スタッフ体制の見直し 遅刻・急病対応ルール、代打体制、業務量の偏り是正
電子カルテ・ネットワークの安定性 クラウド保存頻度、トラブル対応マニュアル、停電時手書き体制
患者対応・再診予約の調整 再診案内の仕組み、検査後案内の整備、予約ミスの記録と共有
保健所指摘事項への是正 初回検査の指摘事項を記録→掲示物・備品の修正
運営改善ミーティング 開業1か月時点で問題共有、運営ルール・マニュアル改訂

おわりに

このように、チェック項目を具体的に明示することで、やるべきことが明確になります。開業直前から開業後にかけては、”気づいたら即対応” “やるべきことを記録・実行”という姿勢が重要です。合理化されたクリニック運営の第一歩として、チェックリストを活用しながら進めていきましょう。

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この記事の執筆監修者

DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)

DOCWEB編集部は、2016年の設立以来、一貫してクリニック経営者の皆さまに向けて、診療業務の合理化・効率化に役立つ情報を発信しています。
クリニックの運営や医療業務の改善に関する専門知識をもとに、医療機関の実務に役立つ情報を厳選してお届けしています。