理想のクリニックづくりに向け 院長の“右腕”的存在となる「経営アシストサービス」

IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社

CSMS事業本部 田村 氏

開業医の担う業務は診療や地域の医療活動など多岐にわたる。経営者として理想のクリニック像を描いたとしても、それを実行に移すには多くの時間やノウハウが必要だ。開業10年の節目に専門家が経営領域をサポートするサービスを導入。開業時に掲げた、自由診療にも力を入れ、地域住民の健康や身体の悩みをくまなくケアできる新しい医療スタイルの実現に取り組むクリニックの事例を紹介する。

東京メトロ有楽町線平和台駅から徒歩1分の場所にある東京メディカルクリニック平和台駅前院は、2008年12月に開院した。同院は、「開業医はどんな患者さんでも診ることができるジェネラリストであるべき」という木島豪院長の信念に基づき、専門医資格を持つ循環器科や内科・小児科・皮膚科といった一般診療に加え、美容を中心とした自由診療にも取り組む“ニュースタイルクリニック”をコンセプトとして掲げている。

医療のファーストアクセスでありたい

院長の木島さんは“街の開業医”の役割として①地域の人々にとって医療のファーストアクセスであること、②地域の人々が安心して明るい日常生活を送るためのサポートをすること―の2つを重視している。

「健康な状態を維持することはとても大切で、男女問わず健康な人は若々しかったり肌がきれいであったり、見た目が美しいという共通点があります。こうした考えに立った時、保険診療だけではカバーできない部分が多くあることに気づきました。また、美容に興味があるものの専門的な美容クリニックを受診することには抵抗があるという方も多数いらっしゃることを知り、開業時から当院では自由診療のメニューを揃えています。例えば疲労回復・風邪の予防・免疫力向上を図るための点滴やニキビ・ニキビ跡・くすみ等の肌トラブルに対応する美容施術を提供して、患者さんが日々を明るく前向きに過ごせるように健康管理のお手伝いを行っています」

事業展開のサポートサービスを探していた

開業後は、木島さんの丁寧な診察と小児科・皮膚科を含む幅広い診療科をカバーしていることなどが評判を呼び、増加する外来患者に昼休みを削りながら対応する日々が続いた。しかし、予防医療や美容医療などを通じて地域住民の健康管理を行うという自らが描いた医療スタイルとかけ離れていくことに次第に思い悩むようになり、開業10周年を機に、自身が理想に掲げた医療を提供できるクリニックを改めて目指すことにした。

「ただ、新しい方向に舵を切ろうと決意しても、私は経営戦略の専門家ではありません。毎日たくさんの患者さんを診察しながら、戦略を練り、実行することは不可能な状況でした。そんな時に歯科医の知人が『院長の経営参謀になってくれるサービスがある』とIQVIAIサービシーズ ジャパンの経営アシストサービスを紹介してくれました。実際に担当の田村善彦さんに会って話をしてみると、MR(医薬情報担当者)経験があり、医療やマーケティングの専門的な知識が豊富な上に、人柄も誠実な印象で信頼できる方だったので、事業計画の立案・実行など経営戦略の領域でサポートをお願いすることにしたのです」

院長のパートナーとなる“伴走型”サービス

同院が導入しているIQVIAサービシーズ ジャパン(www.iqvia.co.jp)の「経営アシストサービス」は、クリニック運営で重要な4つのポイント:①経営戦略、②マーケティング、③地域連携、④組織マネジメントについて、MR経験を持つ「経営アシスタント」が院長の“右腕”としてサポートするサービス。同院では担当の田村さんが①の経営戦略と②のマーケティングの課題解決に取り組んでいる。

従来の経営コンサルタントとの一番の違いは、いわゆる“ハンズオンタイプ”のサービスである点。これまでのケーススタディから導いた「こうあるべき」という第三者としてのアドバイスではなく、経営アシスタントが定期的にクリニックを訪問し、当事者として診療方針や経営方針といったビジョンを共有した上で、院長の目指すクリニックの実現に向けて汗をかく“伴走型サポート”が大きな特徴だ。

新メニューや広告手法の開発で効果を実感

同院が経営アシストサービスを導入してから1年が経過し、木島さんは「医師本来の仕事に集中できるようになった上、事業の展開がこれまでにないスピードで前に進んでいる感覚がある」とメリットを実感している。

「今取り組んでいる課題は、自由診療メニューの開発や新しい機器の導入、それに伴う広告戦略などです。私が『これをやりたい』と経営アシスタントの方に伝えて、機器メーカーの選定や料金設定のサポート、広告展開など幅広いマーケティングをお願いしています。手間や時間のかかる実務部分をアウトソーシングできるので、私の役目は日々の診療と今後の経営ビジョンを描くだけで済むようになりました。私が1言ったことを10に膨らませて提案してくれるイメージです。対応もスピーディで頼りにしています」

この1年の変化としては、同院ではニキビや肌荒れなどの相談が多いことから「ハイドラフェイシャル」という機器を導入、また直近では、ニキビ跡と肌質の困りごとへの相談に対応するため、「ダーマペン」という機器を用い皮膚に細かい穴を開けて新陳代謝を促す施術の提供を開始した。

自由診療の新メニュー開発に伴い、地域住民に広く知ってもらうための最適なプロモーションをさまざまな角度から検討し、展開。同院の特徴をわかりやすく伝えるためにクリニックのWEBサイトの改修も随時行っている。

「開業医は広い意味で地域の医療のファーストアクセスであるべきという考えの下、当院は風邪や腹痛といった一般的な症状だけでなく、美容的な悩みにも対応しています。自由診療を行うのも、美容も含めた身体のことで苦しんでいたり悩んでいたりする人たちが、まず相談できる場所でありたいと考えているからです。開業にはいろいろな形があっていいと思います。ただ医師は経営の専門家ではないので、新たなチャレンジをするときには経営アシストサービスのようなサポートを活用した方がいいと思います。そうすることで街の開業医として患者さんのニーズに沿った多様な取り組みが実現できると実感しています」(木島さん)

ユーザーへのインタビューは週刊日本医事新報社No.5012 (2020年05月16日発行)より引用

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