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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、第86回始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
評価制度の具体的な事例と設計思想
(高山)今日のテーマは前回の続きですね。
前回の続きで、評価制度の具体的な事例について深掘りしていきたいと思います。
(大西)具体的な事例というと、様々なクリニックで共通して使えそうな事例について、お話しできればと思います。
(高山)それでは、この後よろしくお願いします。
(大西)お願いします。
評価制度の基本設計:数値化(メジャー)の重要性
(高山)それでは、より具体的な内容に入っていきたいと思います。
おさらいになりますが、評価項目として「対人能力」「事務能力」「協調性」「ITスキル」「業務改善発想力」「成長意欲」といった大きな軸を提示していただきました。
これらをどのように分解し、運用していくのか。また、評価者が気をつけるべきポイントなど、さらに深掘りしてお伺いできればと思います。
(大西)まず、「メジャー」、つまり数値で測れるかどうかという考え方が非常に重要です。
感覚で評価するのは難しいので、できるだけ数値化できる指標を用いる必要があります。
例えば、「挨拶ができる」という項目も、具体的に定義する必要があるのですね。
(大西)そうです。「上司に声をかけられた時に『はい』と返事ができるか」「朝、『おはようございます』と言えるか」など、具体的な行動レベルまで定義します。
パソコンスキルであれば、テキスト入力の速度などが指標になりますね。
1分間に何文字入力できるか、といった具合です。Excelの数式が作れるか、といったスキルも同様です。
これらは、Microsoftの検定などを利用して、客観的に評価することも可能です。
評価が難しい項目の数値化:行動と結果で測る
(大西)一番難しいのは、「成長意欲」のような、内面的な要素をどう評価するかです。
(高山)モチベーションを数値化するのは難しいですね。
(大西)できないので、まずは「成長意欲とは何か」を、みんなで話し合って定義することから始めます。
例えば、「発言」の数です。会議で積極的に発言する人は、数えやすいですよね。
そして、「行動」です。発言したことを、どれくらいのスピードで実行に移すか。
すぐに行動する人は評価が高く、1週間、1ヶ月と先延ばしにする人は評価が低くなる、というように段階分けができます。
(高山)なるほど。これなら、評価基準を作る過程で、様々な意見が出そうですね。
(大西)「業務改善発想力」であれば、年間の改善提案の「数」で評価します。
(高山)内容はともかく、たくさん提案した人を評価する、ということですね。
(大西)そして、そのうち、院長が「採用」した提案の割合も、評価の軸に加えます。
(高山)実際に良い提案だった、という客観的な評価ですね。
(大西)さらに、その提案によって、どのような「効果」があったのかも評価します。
このように、「数」「採用率」「効果」という3つの軸で評価することで、多角的な評価が可能になります。
評価制度設計のプロセスとファシリテーションの重要性
(大西)こうした評価制度の設計は、それ自体が非常に楽しい作業です。
しかし、ワークショップなどを進行するための「司会者(ファシリテーター)」が院内にいないケースが多いため、コンサルタントのような外部の力を借りることが多くなります。
(高山)「協調性」などは、特に定義が難しいですね。人によって解釈が異なりますから。
(大西)そういう場合は、まず辞書の定義を確認することから始めます。広辞苑などの客観的な定義を基に、みんなで議論を進めていくのです。
(高山)なるほど。共通の土台を作るわけですね。
例えば、広辞苑で「協調性」を引くと、「自分と異なる立場や意見を持つ人々と協力して、共通の目標を達成するために行動できる能力」といった説明が出てきます。
「単に相手に合わせるだけでなく、自分の意見も持ちながら、円滑なコミュニケーションを築く」、という高度な能力が求められるのですね。
(大西)この定義から、「リーダーが決めた方針に合わせられるか」「会議で建設的な意見が言えるか」といった、具体的な評価項目に分解していくことができます。
評価制度の「極意」は組織のベクトルを合わせること
(大西)ただ、ここで注意が必要なのは、協調性を重視しすぎると、逆に「出る杭は打たれる」ような評価になってしまう可能性があることです。
(高山)意見を言う人が、協調性がない、と評価されてしまう。
(大西)そうです。だから、評価制度の設計が非常に重要になります。
「協調性」の評価項目では、チームの方針に合わせることを評価し、一方で「業務改善発想力」の項目では、積極的に意見を出すことを評価する、というように、バランスを取る必要があります。
(高山)総合点で評価する、ということですね。
(大西)評価制度の極意は、実は、自分が目指す組織の方向に、チーム全体を引っ張っていくためにあるのです。
(高山)なるほど。働く人の能力を正しく評価することが目的ではないのですね。
(大西)そちらは本質ではありません。あくまで、コントロールしやすい組織を作るためのツールです。
(高山)これは、スタッフの方が聞いたら驚くかもしれませんね。
(大西)しかし、評価される側も、評価を求める傾向にあります。
ただ、評価というのは、どうしても評価者の主観が入るものです。
絶対的な評価など存在しません。
評価制度の形骸化を防ぐワークショップの活用
(大西)だからこそ、評価制度そのものを作るのではなく、まずはマインドマップなどを使って、「当院にとって優れたスタッフとは何か」を、みんなで考えることから始めるのが良いと思います。
(高山)評価制度を作ること自体が目的になってしまうと、うまくいきません。
(大西)作っても使われない、形だけの制度になってしまう。
そうならないためにも、評価制度を作るまでの「プロセス」が非常に重要なのです。
(高山)ワークショップ形式で、みんなで評価軸を作っていく、ということですね。
(大西)そうです。そして、作った評価制度は定期的に見直し、評価者のトレーニングもワークショップ形式で行う。
リーダー同士で評価し合ってみる、といったことも有効です。そうしたやり取りを通じて、経営としての一体感や、目指すべき方向性の共有が図られていくのです。
評価制度の本当の目的
(高山)評価制度を作るまでのプロセスが大事だというお話、非常に納得しました。
(大西)評価制度を作ることが目的ではなく、それによって正しいスタッフを育成することが、本当の目的なのです。
そして、それがゆくゆくは院長先生自身のストレス軽減にも繋がる。
(高山)働く人も、評価の指標がはっきりしていれば、モチベーションを保ちやすくなります。
最終的には、患者さんに対して、より良い医療を提供することに繋がっていくはずです。
(高山)評価制度は、単に給与を決めるための道具ではなく、クリニック全体をより良い方向に導くためのツールなのですね。
(大西)だからこそ、コンサルタントなどに依頼する際も、そこまで理解している専門家を選ぶことが重要です。
(高山)今日は、評価制度について、非常に深く、本質的なお話を伺うことができました。ありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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