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DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。
(高山)おはようございます。パーソナリティのドックウェブ編集長、高山豊明です。
(大西)おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)「院長が悩んだら聞くラジオ」、第90回が始まりました。大西さん、今回もよろしくお願いします。
(大西)よろしくお願いします。
今日のテーマは何でしょうか。
(高山)前回の続きで、診療報酬の動向について深掘りしていきたいと思います。今回はより具体的な方向性についてお話しします。
物価・賃金・人手不足の「トリプルショック」への対応
(大西)今回の改定の目玉として、賃金や物価上昇、人手不足という「トリプルショック」に対して、国がどのような対策を打つのかをお話ししようと思います。
(高山)まずは1番目の項目について深掘りしていきましょう。
令和6年度診療報酬改定の基本方針の概要、その1番目は「物価や賃金、人手不足等の医療機関等を取り巻く環境の変化への対応」です。
行政の文言は読みづらいですが、要するに医療機関を取り巻く環境の変化に対応しようということですね。
(大西)物価と賃金が上がり、人手が不足しているというのが医療機関が直面している現在の3つの課題です。
「物価や賃金に合わせて手当てをすれば人手不足も解消するのか」というと、実はそこは少し違うという内容が書かれています。
(高山)僕も違うと思います。
(大西)物価に合わせて賃金を上げれば人手不足が解消するわけではない、という根本的な部分が書かれています。
(高山)人手不足の理由として、医療業界以外の他産業に人が流れて医療業界に魅力がないから集まらないというマクロ視点での論点なのか、それとも病院やクリニックに就職せずに社会に出てしまう人材が増えているという論点なのか、どちらなのでしょうか。
(大西)医療機関は中小企業のような人数構成の集まりです。特にクリニックは10人から20人程度の規模が大半です。
中小企業全体で見ても人手不足は深刻ですから、これは医療機関特有の問題ではないと言えます。
マクロ的に見ればどの業界も同じ状況であり、単に給料を上げることが人手不足の解消に直結するわけではありません。
医療機関の収益構造と人件費・物件費の手当て
(高山)日本全体が直面している物価・賃金・人手不足という環境の中で、医療機関の変化に対応していくということですね。
(大西)具体的な方向性としては、人件費、医療材料費、食材料費、光熱水費、委託費といった「物件費」の高騰を踏まえた対応が挙げられています。
医療機関の収益構造を見ると、50%から55%が人件費です。
そのため、まず人件費について言及されています。
医療材料費や食材料費は病院側への影響が大きく、光熱水費は病院・クリニック共通の課題です。
委託費にはシステム委託や清掃、クリーニングなどが含まれ、これらのコストも増大しています。
これらを物件費として一律に引き上げる方針です。
医療機関での原価計算は非常に難しいですよね。
どの点数が誰にかかっているのかが明確ではありません。
錠剤などは分かりやすいですが、人件費の配分は非常に困難です。
例えば、最も電気を使うのはMRIやCTですし、委託費で大きいのはシステム委託費です。
診療報酬上では細かく管理できないため、初診料、再診料、入院基本料といった「基本診療料」の引き上げで対応することになります。
ディズニーランドで言うところの「入園料(パークチケット)」を上げるしかない、ということですね。
賃上げと業務改善のセット化
(大西)2つ目は「賃上げや業務効率化・負担軽減などの業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組み」です。
給料が上がりそうな印象を受けますが、実際には「業務効率化・負担軽減」がセットになっています。
つまり、業務改善をしなければ賃上げをしてはいけない、というメッセージです。
どの点数においても、賃金を上げる代わりに業務改善を求められるということですね。
(高山)非常に厳しい内容です。
(大西)厚労省の補助金や助成金も全てこの文脈です。アウトカム(成果)が出なければお金を上げない、という考え方です。
今回、医療従事者の処遇改善として「ベースアップ評価料」が導入されました。介護や看護ですでに導入されていた仕組みの全体版です。
これは届け出制なので、実施するかどうかは医療機関次第ですね。
実施すれば点数は上がりますが、スタッフに配れる金額は微々たるものです。
そのため、手間がかかるならやらないという先生もいました。しかし、今後は補助金ともリンクしてきます。
例えば、補正予算で配られる補助金の条件に「ベースアップ評価料を届け出ていること」が組み込まれるなど、診療報酬と補助金が連動し始めています。
(高山)言うことを聞かない医療機関には補助金を出さない、という形になりつつあります。
手間がかかると、その分さらに業務効率化が求められますね。
(大西)計算が煩雑で届け出を躊躇するケースがあるため、今後の改定では「診療報酬上求める基準の柔軟化」によって、もう少し対応しやすくなる見込みです。
2030年電子カルテ義務化と医療機関の淘汰
(大西)次に「業務の効率化に資するICT、AI、IoTなどの利活用の推進」についてです。
2030年までに電子カルテを100%普及させるという法案が可決されました。現在、クリニックの普及率は55%程度ですので、残りの45%はあと5年ほどで導入しなければなりません。
導入したくない場合、廃業やM&A(事業承継)が加速することになります。
引き継ぎしか道がなくなるわけですね。
また、クリニックが過剰なエリアでは新規開設を制限する法案も通っています。
廃業数と新規開設数のバランスで決まるため、実質的に承継開業しかできなくなります。
ICT、AI、IoTの利活用が進むほど、医療機関の集約化やM&Aが進むことになります。
飲食店で大手チェーンが個人店の跡地を買い取って再オープンするような流れが、医療でも起きるということですね。
星野リゾートのように、古い施設をリニューアルして再生させる動きの裏にはICTやAI、IoTがあります。
システムを導入しなければ開業できず、導入すれば効率化されて少ない人数で運営できる。
「処遇改善をする代わりに、スリムでスマートなクリニックを再構築しなさい」というメッセージです。
医師の負担を軽減し、働き方改革を推進するため、医師事務作業補助者や看護補助者などの専門職以外の人材を活用し、全体のコストを下げる狙いもあります。
診療科の偏在対策と「かかりつけ医」の基準
(大西)診療科の偏在対策についても触れられています。日本には内科が5万件ありますが、一方で全然足りていない科もありますよね。
以前は精神科が全く足りませんでした。今はどんどん増えていますが、なぜだと思いますか?
(高山)ニーズの増加や専門性、あるいは開業のしやすさなどが理由でしょうか。
(大西)精神科は元々、入院医療がベースでした。
しかし国は、これを通院医療に変えたいと考えています。
これまでは入院させて薬を投与し続ける「社会的入院」が常態化していましたが、厚労省はこれを外来医療へ移行させるため、クリニックを劇的に増やす必要がありました。
そこで、精神科が開業しやすいように点数構造を見直したのです。
このように、診療科ごとに点数を変えることで開業をコントロールするのが偏在対策の考え方です。
(高山)今回の対策で、具体的にターゲットになりそうなのはどのあたりでしょうか。
(大西)まずは精神科をさらに増やしたいと考えています。
現在は「精神科の初診枠」が不足しており、受診したくてもどこも空いていないことが問題になっています。
これを解消するために、初診の点数を引き上げることが検討されています。
また、耳鼻科、皮膚科、眼科などもパンクしかかっています。
(高山)それらの科は、新しく開業する人が少なくなっているのですか?
(大西)いえ、開業する人が増えていても、内科に比べると圧倒的に数が足りていないのです。
内科は5万件、整形外科は1万5千件ほどあり、これまではこの2つの科が中心に増えてきました。
医師が病院からクリニックへ移動すれば、外来が増えて入院が減るという構造になります。
今後はエリアごとに「この地域は眼科が足りない」「ここは皮膚科が足りない」といった微調整を行っていく方針です。
(高山)圧倒的に足りない部分を埋めるための微調整、という感じですね。
(大西)診療報酬は2年間続きます。
ここでの微調整が積み重なることで、将来的には大きな調整へと繋がっていくのです。
内科は現在、ベースの点数が非常に厚く設定されています。生活習慣病管理料や特定疾患療養管理料などがその例です。
どの科で診ても同じような処方であっても、内科でもらうと点数が高いという現状があります。
これが、国が定める「かかりつけ医」の基準を満たさない場合は点数を低くするといった構造変革に繋がっていきます。
(高山)今回は「物価や賃金、人手不足等への対応」という重点課題についてお話ししました。
処遇改善からIT化、タスクシェアリングまで多岐にわたる方向性が見えてきました。
次回は、残りの3つの項目について続けていきたいと思います。
今回もありがとうございました。
(大西)ありがとうございました。
(高山)院長が悩んだら聞くラジオ、最後までお聞きいただきましてありがとうございました。
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この番組は毎週月曜日の朝5時に配信予定です。それではまたポッドキャストでお会いしましょう。さよなら。
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DOCWEB編集部(一般社団法人 DOC TOKYO)
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