【ゲスト回】AIの登場で地域連携が促進される『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン2エピソード112全文書き起こし

DOCWEB『院長が悩んだら聴くラジオ』この番組は開業医の皆さんが毎日機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。 通勤時間や昼休みにゆるっとお聞きいただけると嬉しいです。

▼ゲスト:奥井伸輔(株式会社Cubec共同創業者 / 代表取締役CEO)

名古屋大学理学部卒業後、外資系製薬企業にて営業・マーケティング・組織文化開発に従事。京都芸術大学でのデザイン思考の学びを活かし、医療ITスタートアップにて、国立循環器病研究センターを中心とした研究プロジェクトに企業代表として参加。医師の意思決定を支援する生成AIの社会実装を目指し、株式会社Cubecを創業。

▼ゲスト:朔啓太(医師 /株式会社Cubec 取締役  医学統括)

2007年熊本大学医学部卒業。九州医療センター、九州大学病院での診療を経て、現在は国立循環器病研究センター循環動態制御部に所属。神経刺激カテーテルの開発により、第2回AMED理事長賞を受賞。循環動態研究を基礎として、様々な医療機器開発に取り組んでいる。AMED橋渡し研究プログラムや医療機器等研究成果展開事業などのプログラムオフィサーおよび評価委員も務める。



(高山)
おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)
おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)
院長が悩んだら聞くラジオ、第112回始まりました。大西さんよろしくお願いします。

(大西)
よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

(高山)
前回に引き続き、株式会社Cubecさんからお話を伺いたいと思います。

(大西)
前回の話の中で、知識をつなぐ、あるいは知識の増強をするという話が出てきて、さらには今後どういう展開をしていくのか。非常にワクワクドキドキのお話でございました。

私がいつも思うのは、このラジオを聴いていて「これ使ってみたいな」「これ面白そうだな」という時に、引き込まれていくんだなということで、後編はさらに引き込まれるんじゃないかと期待をしています。

(高山)
ということで、このあとCubecさんをお迎えして、深掘りしていきたいと思います。よろしくお願いします。

Cubecのビジネスモデルと著作権への配慮

(高山)
今日はゲストにCubecさんをお呼びしていますので、詳しくお聞きしていきたいと思います。

私が純粋に思ったのは、ビジネス化するにあたって、文献やエビデンス情報は基本は有料などで登録しないと見られないものも含まれていると思うのですが、
ビジネスモデルとして作ろうとした時に、二次利用にあたっていく感じもしますが、そこをうまく乗り越えられてサービス化されて、
かつ無料で提供しているというのはすごいなと思ったのですが、
裏側の乗り越えた部分を教えていただけるとありがたいかなと思います。

(奥井)
参考にしている主なガイドラインや主要な論文に関しては、その中の医学的な部分のみを抽出して、それをどのように解説するかというところ、
特に著作権に関わる部分は、私たちの監修の先生がゼロから作っていただいている部分になります。

その上でサービス提供というところで言いますと、広告モデルを採用しようと考えております。

まだ今は広告は実装していないのですが、先ほどの独自に使った医学書、これを検索結果だけではなく、メディア的に見ることができるような機能も実装しております。

ここに製薬企業さんのコンテンツコーナーを設けて、ここに広告料をいただいて載せていこうと考えています。

(高山)
一次情報に関しては直接ということではなくて、それを読み解いて解説されているものをデータベース化して使っていらっしゃると。

(奥井)
そうです。

データベースの網羅性と今後の展開

(高山)
解説者をどれだけ増やすかとか、解説したもののコンテンツをどうやって増やしていくか、そのペースや領域の広げ方などが注目されるところだと思うのですが。

今は始まったばかりということではあると思うのですが、今はまだ強い・弱いがあるのかなと想像していますが、
まんべんなく色んな先生に使ってもらえるようになるのは、どのくらいの期間で目指されているのでしょうか。

(奥井)
まず現状をお伝えしますと、現状、日常診療で出会うようなテーマであれば約70%カバーできている状態になっています。

希少疾患なども含めると約50%程度になります。

これらを、今年あとこれからの半年間を目処に、日常診療で出会うものに関しては100%カバーできるように進めていきたいと考えています。

(高山)
網羅性という意味では、広さと深さという部分があると思うのですが、その50%、70%というのはどういうふうに見ていったらよろしいですか。

(奥井)
深さという点で言いますと、今は診療ガイドラインに準拠するようなレベル感を、まずは徹底して整備をしていっています。

そこからさらに踏み込んで、エキスパートの実践的なノウハウ、この部分はまだ実装していませんが、ここも今年の6月から実装していく予定になっています。

医師から見た「Cubec」の利便性

(高山)
もしよろしければ、この点や、実際に先生方がどんなフィードバックがあるか、どういった点が受けているかという点、朔さんからもコメントをいただければと思うのですが、いかがでしょうか。

(朔)
ありがとうございます。

自分も医師をしているのですが、外来で読むという作業を教科書をベースにすると、かなり外側から書いてあったり、
目次を辿って色んなページを読まなければいけなかったりして、その欲しい情報が、その少し外側ぐらいまで含めて検索できるということはないんですよね。

AIを用いた自然言語であることによって、コアな情報と周辺情報に絞って提示してくれるというところがすごくありがたいです。

さらにCubecの場合、「ざっくり」と「じっくり」と僕は呼んでいますけれど、医学的な教科書とかガイドラインとか、
そういったものをまとめた「ざっくり」バージョンでまず提示してくれて、詳しく知りたい場合はパブメド(PubMed)を辿って論文も提示してくれる。

この「ざっくり」と「じっくり」というのは、医師の様々なレイヤー、もしくは知識層に届くのかなと思います。

学びの形と「イン・ザ・ループ」

(朔)
あと、医療として浸透しているという形と、学びの形として受けているという感覚は実は持っていて。

事業を始めて気づいたのですが、これってAIとエキスパートとユーザーがループの中にいて、それでどんどんプロダクトが良くなっていくという仕組みなんですね。

今までは何か賢い人から一方向性に知識が提供されていて、それに当たるか当たらないかという世界だったのが、
多方向性につながっていって、中にあるコアの知識というものがどんどんブラッシュアップされていくというところで、どの関係者から見ても一種の達成感がある。

これがまたこの新しい学びの形になるのかなというところで、単なる医療で便利だという話だけではなくて、使うたびにこの製品が優秀になっていき、

そして「エキスパート・イン・ザ・ループ」とか「AI・イン・ザ・ループ」という言葉もよくありますが、オールユーザーも含めたイン・ザ・ループの形でこのプロダクトがあるというのは、非常に面白い学びの形だなとも思っています。

(高山)
ありがとうございます。

元々知識を常に増やしていかなければいけないとか、アップデートしていかなければいけない、生涯学習が必要な職業でいらっしゃると思うので、
今お聞きしていて、特にマッチするんだなと。

常に勉強している方々向けのものなので、AIってそういうものだよねとすごく思いました。

大西さんからも何かありましたらお願いします。

医師同士のマッチングとネットワーキングの可能性

(大西)
僕はどちらかというとビジネスライクなほうが仕事的にあるので、これがこれからどう発展していくのかということに興味があります。

ドクターの数が30万人ぐらいいて、そのうちの現在2,000人が登録していると。

すぐに1万人、10万人となった時に、シナジーが生まれてくるんじゃないかなという期待を僕はしていて。

特に、これはジャストアイデアで申し訳ないですが、医師同士のマッチングサービスみたいなのを始めたら面白いのではないかなと聞いていて思いました。

みんなが両方勉強している時に、「俺この分野得意です、専門です」という人がいて、その専門の人を例えば招待して勉強会を開くとか。

やっぱり医師って実はつながりたくてつながれない。

今私もよくやっているのですが、鹿児島の先生で、ものすごく腹膜透析の優秀な先生がいて。

でも一方で腹膜透析を誰も知られていないので、その人を招聘してセミナーを開いてもらう。

めちゃくちゃ人が来るみたいなところに、このプラットフォームが。みんな勉強したい人たちが例えば1万人いれば、めちゃくちゃ刺さるだろうなと思って聞いていました。

最初高山さんからお話を聴いた時に「医療版ChatGPT」と言うから、なんとなくAI寄りの話なのかなと思ったのですが、今日はどちらかというと学びのナレッジデータベースなんだなと。

これから出会いのデータベースになったら面白いなと思って聞いていました。

(奥井)
まさに会社設立当初から取り組んでいる「心不全パンデミック」のところでも、そこが一番のポイントになるだろうと考えてやってまいりました。

一人の医師がどのように見るかを良くしていく、そこにはこの医療圏の中で誰が何をするのかと切っても切り離せない。

そこを改良していく必要があるなと痛感しております。

ですので、そこにずっと取り組みながら、この生成AI部分だけを切り出して、まず先行して事業化を進めているのですが、また最初に持った問題意識に還元されるなということをすごく面白く感じているところです。

朔先生からもよければお願いします。

医科歯科連携と知識の壁

(朔)
実はネットとか調べていただいたら分かるのですが、我々が始めたのはこの「AMED」という国のファンディングエージェンシーの(助成を)取得したのがきっかけなんですね。

その時のテーマは「診療連携アプリ」を作るというものでした。

どちらかというと出会いの場を作るアプリケーションを世に出すと。

ただ、やってすぐ気づいたのは、知識がないとうまく出会えなかったりするんですね。

一旦知識のところに重点化をして、そして最終的には結合させて、この出会いの場と言いますか、地域における診療連携を促進するようなLINEとか通信アプリのようなものを実装させていこうという計画も先にございます。

まさに今まとめていただいた内容が、期せずして我々が最初に思っていたところと合致したというところも、ぜひやらなきゃいけないなと確信しました。ありがとうございます。

(大西)
ちょうど先日、医科歯科連携のシンポジウムも開いたんですね。

テーマは糖尿病と歯周病というテーマでお話をしていたのですが、期せずして厚労省が点数をそこに付けました。

医科から歯科に紹介する時に点数が付くと。

これまで医科と歯科の交流がすごくなかったのを、ちょっとやってみようじゃないかということで、内科学会に合わせてシンポジウムを開いたんですね。

その時にすごく感じたのが、お互い知らなすぎ。

知識もなければ、そもそもお互いに、こんな言い方申し訳ないですが、誤解しているんだなということが分かりました。

医科は歯科を誤解し、歯科は医科を誤解しているので、交流しようとしない。

その時に、朔先生のおっしゃる通り、知識が壁でした。

何でもそうですよね。

人間が出会う時に相手のことが分からなかったら地雷踏んじゃうじゃないですか。

みんな地雷が怖いから喋らないんですよね。

だからそれと同じことが実際に起きていて、話してみたらすごく仲良くなれるのに、知識がないからそのハードルが超えられない。

それが今回のナレッジデータベースによって、まず第一段階、知識の壁を超える。

で、次にネットワークが場所・距離の壁を超える。

最後は仲良くなっていくというシナリオが見えたので、そこには当然この広告モデルはものすごく最適だなと。

数が増えれば増えるほど出会いが増えていく。

だから、下世話な言い方をすると紹介アプリであったり、出会いアプリ、マッチングのアプリになっていく可能性をすごく感じました。

(奥井)
私たちの経営課題としても示唆に富んだコメントをいただいてありがたいです。

成功するクリニックと院長の特徴

(大西)
僕、自分のこと少しだけ言うと、開業コンサルとか、経営コンサルをずっとクリニックを中心に、病院を中心にやってきたのですが、一番の壁がエリア性なんですよね。

エリア内連携をうまくやっている先生たちは患者が増えている。エリア内連携がうまく行っていない先生は患者が増えない。

隣のクリニックが敵だと思っているか、味方だと思っているかによって患者の増加数が変わるというのが分かってきたことで。

大体みんな医師会でみんな話し合うんだけど、結構バチバチなんです。新しい開業医が入るとライバルが来た(と思う)。

でも、ちゃんとよく見ると診療所同士も専門性違うんですよ。

だからそこの専門性を明確に見極めればちゃんと連携できるのになと僕らは思っていたので、そういう会を開こうとリアルで考えていて。

まさに奥井さん、朔先生がバーチャルでそれをやろうとしているから、ぜひ何かお手伝いできたらなという感じはします。

(奥井)
ぜひぜひ。おっしゃっていた「連携がうまく行っているクリニックとそうでないところ」というところで、
うまく行っているクリニックのポイント、うまく行ったポイントですとか、その院長の特徴といったものはどういったものがあるんでしょうか。

(大西)
基本的には「腰が低い」です。

先生同士のコミュニケーションの時にものすごく当たりが柔らかくて、あと「勉強になります」という言葉をすごくたくさん使われますね。

多分相手に対するリスペクトがしっかりしているドクターなんだと思うんですけど。

リスペクトしているからこそ相手も気持ちよく喋るわけです。

そうするといらんことも喋り出して、途端に(仲が)深まっていく。

だからうまく行かない先生は、自分中心的に周りに対してリスペクトが弱いのかなという感じがします。

朔先生、そのへんドクターの傾向ってありますよね。

(朔)
そうですね。キャリアが進むごとにどうしても中心的存在になってしまう。

それによって、ややコミュニケーションにおごりが出てしまうというのがドクターですし、そのキャリアが進んだ先に開業があることが多いものだから、
そのおごったマインドと言いますか、そういった未成熟なマインドで、ある種の医療ビジネスの中に登場する。

それがかなりドクターにとってチャレンジになるわけですが。

僕ら研究とか医療機器開発というのをやってますと、基本的にコラボレーションというのが大きな研究、大きな医療機器開発につながるんですね。

そこでも同じことが言えると思います。

やはり人当たりが、芯はしっかりしている必要があると思いますが、やはりコミュニケーションが上手な先生かどうか。

あと、医療業界でよく言う言葉を、「ノウハウ(Know-how)ではなくてノウフー(Know-who)だ」という言葉があります。

これはやっぱり、できる人をどう知っているか、そしてその人にどうつながれるかというところが、色んな物事をやる肝なんだなと改めて感じます。

(大西)
僕、それに付け加えるなら「ノウホワイ(Know-why)」もあると思うんですよね。

質問がちゃんとできる人って、すごく素敵な関係が作りやすくて。

逆に質問下手な人って、自分の話ばかりしている。

相手のことを知ろうとする態度が連携の秘訣かも知れない。

奥井先生、答えになってますか。

(奥井)
はい、もう非常に。

私たちの事業もそうですし、私自身の経営者としての成長に必要なポイントも教えていただいたように感じています。

開業医へのメッセージ

(高山)
盛り上がっている最中ですけれど、本当にお聞きしていて、今後本当に広まっていくサービスだなというふうに思いましたので、

開業医の皆さんへ最後、奥井さんと朔先生、お二人からメッセージをいただければと思います。

(朔)
そしたらメッセージは最後奥井さんに締めてもらいたいと思いますので、朔のほうからですけれど、父もいるんですけど僕、母も祖母も開業医なんですね。

という家系環境で生まれてまして、病院を率いるという作業って結構大変だなっていうのを母とか祖母とかを見て思うし、
一定の孤独があるという中で、結構その知識との付き合いって自分が進む上で、結構大きな安心につながるんだろうなっていうふうに思っています。

さらなる機能拡充を今後予定しておりますので、ぜひ一緒に育てていただけたらなというふうに思っております。

(高山)
ありがとうございます。
それでは最後、奥井さん、お願いします。

(奥井)
私たち、先生方の診療業務を支援する、特に臨床判断をお助けすることに特化して磨き続けたいと思っています。

そのために、教科書レベルの医学知識をしっかりと自分たちが手作りで地道に作っていくことを続けて、またこの6月からは、エキスパートドクターの踏み込んだ実践的ノウハウも追加してまいります。

さらにそういったデータベースだけではなく、それをどんな粒度で確かであることを確認しながら使っていただけるような形で出力していくという、この体験を磨き続けたいと思いますので、

ぜひ先生方のフィードバックいただきながら高度化していきたいと思いますので、ぜひお試しいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

(高山)
全編通じて、大西さん感想を一言お願いできればと思います。

(大西)
元々AIというものが一つのツールとして位置づけられている中で、やはり本質的に考えられるのは医師のナレッジデータベースとして、どうみんなに活用してもらうか。

そのために当然無料で公開するということをしている。

その裏には広告モデルができたらいいなと。

僕が一番期待しているのは、そのナレッジの先にある出会いということでお話をさせていただきました。

人は知識によって、人との境界を乗り越えることができるというのは物凄くいい言葉だなと。

知識の足りなさが人の距離を作っているんだなということは、勉強になりました。

僕も相手のことを知りたいときは、まず相手を徹底的に調べます。

今回もCubecを調べ、国立循環器病研究センター内にある会社であるということを調べ、どうにかしてお話を膨らませたいなと思って挑んでいたんですが、やはりまだまだ浅い知識でございました。

凄くたくさん色んな勉強をさせていただきましたが、要は知識が人を繋げるんだということが分かって良かったと思います。

(高山)
ありがとうございました。

ということで、今日は医師専用のChatGPTのようなものをお作りしたCubecさんをお招きしましたけれど、
本当にツールの話というよりは、人と人をつなげる、また知識の増強をするというところをサポートする、
非常にこれからなくてはならないツールだなというふうに感じました。

大変にありがとうございました。それでは続きは次回にしたいと思います。
お三方、今回ありがとうございました。

(奥井・朔・大西)
ありがとうございました。

(高山)
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