
今回のトーク
- KGIはゴール、KPIは分解した数値目標
- 医療にKPIが馴染みにくい理由
- なぜ歯科はKPIが浸透しているのか
- 診療圏調査から仮説を立て、目標設定へ
- 目標設定に、スタッフを巻き込む意義
院長が悩んだら聞くラジオ。この番組は開業医の皆さんが機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。悩んでいても、悩んでなくても、通勤時間や昼休みにゆるっと聞いていただけると嬉しいです。
PODCASTエピソードはこちら
(高山)
おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。
(大西)
おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。
(高山)
院長が悩んだら聞くラジオ、第127回始まりました。
(大西)
よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?
(高山)
今日のテーマはKPIなのですが、KPIと言うと聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますが、平たく言うと目標設定という形になります。
自走型組織の作り方ということで、何回か続けているのですが、その中の1つの重要な要素として、自走型組織をどこに向かわせて走らせるのかということを深掘りしていきたいと思っております。
(大西)
ゴールが決まっていないものは走れないので、すごく大事なテーマだと思います。
KGIとKPIの違い
(高山)
自走型組織は一体どこに向かって走るべきかということで、院長が思い描いていない方向に走られると、自走型組織と言っても暴走型組織になってしまいます。
院長があるべき姿を示して「こっちの方向だよ」と言う必要があると思うのですが、その時に便利な言葉としてKPIというのがあります。
このKPIなのですが、上位概念があるんですよね。
まずKGIというのがあって、それを達成するためのKPIということなのですが、ちょっと解説していただいてもよろしいでしょうか。
(大西)
最近使われるようになった言葉になるのですが、まずゴールを決めることを考えるとKGI(Key Goal Indicator)です。
それを分解していくとKPI(Key Performance Indicator)になるので「具体的に言うと」という意味なんだと思うんです。
社会の中でゴールを決めましょう、そのゴールを紐解いて分解するとどういうことですか、それを数字で決めていきませんかというアプローチではないかなと思います。
(高山)
よく言われるのは、KGIはゴールなので最終的な成果目標である、KPIはKey Performance Indicatorと言って、そのゴールを達成するためのキーとなる業務・プロセスを分解して1つ1つ追っていこうということだと理解しています。
目標設定の「SMART」の法則
(高山)
このKPI設定の5つのポイントがあると言われています。
「SMART」の法則と言われるらしいのですが、英語の頭文字をとっているのですが、
1つ目は具体的に、誰が見てもわかる明確な内容にすること。
2つ目に、数値として測定できるようにすること。
3つ目に、高すぎる目標ではなくて現実的に達成可能なものにすること。
4つ目に、最終目標、先ほど言ったKGIの達成に直結するものであること、関連することですね。
最後に、達成期限が設定されているか、いつまでにこれを達成しよう、この5つです。
これらを要素を満たすということが推奨されているということです。
(大西)
僕もよく研修でSMARTは使いますが、大体みんながKGIとは何かと聞いたら「理念です」と大体先生たちは言っていますね。
地域に貢献するというのがクリニックの理念であれば、地域貢献って具体的に何すれば地域貢献できたと測れるのかというのでKPIに落としていくとか。
あとはクリニックによっては自己成長とか、組織が成長するということを明確にしているのであれば、それが明確になるためのゴールを説明するので、KGIとKPIの関係というのは作りやすいかなと思います。
医療現場でのKPI運用の難しさ
(大西)
一方で難しさで言うと、KPIとかSMARTがそもそも馴染んでいないんですよね、医療の現場に。
(高山)
これはビジネスの現場で使いやすいように設定されているものですね。
(大西)
いつもその「医療変換」というのでしょうか。
目標が売り上げではないというのが難しさですね、医療は。
(高山)
変換できるかどうかですね。
(大西)
売り上げを達成しなければ私たちの理念は達成できないよね、とちょっと上に上げなければいけないのですが、大体そこに乖離が生まれてしまうんですよね。
(高山)
やはり命を扱うというのが難しさを、難しさというか割り切れないところがあるのかなと。
1人の患者さんは目の前で苦しんでいる、痛がっている、辛い思いをしている、これにお金の価値に換算するというのは難しいですよね。
(大西)
非常に目の前のことに重点化すればするほど理想と遠くなっていく。
だって、困っている人に対して「単価を上げなきゃ」と言って検査を増やしたりすると逆の動きをしていきますし、早くどうすれば治るかだけを考えなきゃいけないので。
先生自身もうまく説明できないんじゃないかなと思います。
大体いろんな研修会でKPIと言われるので、大体先生が持ち込もうとして、翌日に「KPIについて」と話をすると「先生、なんかまた変な研修受けてきました」とみんなに言われます。
これすごいですよ。
変な研修と言われるこの辛さ。
(高山)
このKPIにすると数値で測れるものを目標値として設定するので、感情だったり五感を大事にするこの医療の中で、それを数値化する、メジャー化するというのが馴染みが少ないとは思うんですよね。
ただ、例えば意識レベルをメジャー化するみたいな感じで、数値に置き換えるということはやられていると思うんです。
医科と歯科の違い
(大西)
ちょっと医科ではないですが、歯科の業界は結構ここが進んできていて。
歯科の経営のトップの院長先生たちは、どうやったらチェアの回転率が高まるか、どうやったら予約が埋まるか、どうやったらキャンセルが減るか、みたいなことはいつもスタッフに向けて話をしているんですね。
(大西)
なんでそれができるのかなと思った時、医科と歯科の大きな違いで言うと、歯科に関しては目の前で苦しんでいる人よりかは、歯を白くしたいとか歯をもっと綺麗にしたいとか、そういうちょっと美容系な要素が強い。
一方で医科に関しては目の前で苦しんでいるから、なかなかその意識に持っていきにくい。
ここが1つ境目なのかなという気はしますね。
(高山)
そういう意味で言うと、KPI設定というのが診療科目ごとにも変わってくるのかなと思うのですが、診療科目ごとの特性に関してはまた後半の方で行きたいと思うのですが、
この大事な目標設定、何を目標にしていくべきなのでしょうか。
目標がない組織の末路
(大西)
先ほどのSMARTで考えると、みんなが合言葉のように達成可能な目標、今日はどうしようかの積み重ねが医療だと思うんです。
だから遠い目標はやはりちょっと難しいし、かといって毎日毎日目標が実感を持つというのは、結局患者の数になっちゃうんだよね。
患者の数が多い少ないというのがやはり目標になりやすいとは思います。
(高山)
例えば、地域に貢献しようと言っている、どんな患者さんに対して貢献しようかというのは1つあると思うのですが。
例えば広く貢献したいということであれば、地域の中で何人の住民の方がこのクリニックを頼って来てくれるのかというのは、長い目で見て、たくさん来れば来るほど貢献度が高いんだなとなりますし。
ただ専門性の高い先生に関しては、専門性に特化した形で認知されて、より専門的な診察を要する患者さんに来ていただければ、それは社会貢献になるでしょうし、
そのあたりの社会貢献とは何かということを理念上と一致させるということはすごく大事なのかなと聞いていて思いました。
(大西)
具体的な話は次回にしますけれど、やはり自分のところのクリニックがどういうKPIをするかというのはクリニックごとに当然違うものだし、何かこうコピペしてはいけないんじゃないかなと。
このプロセスを考えることもすごく大事なんじゃないかなと思っています。
(高山)
考えること自体が、考え続けること自体が大事だなと思ったのですが、どうですか。
(大西)
最近AIのせいかわかりませんが、コピペの世界が増えてきたり、考えないということが増えてきているじゃないですか。
だからあえてここは、KPI設定にすらスタッフを巻き込んだ方が僕はいいかなと思います。
(高山)
目的は自走型組織を作っていくことということで今話をしているので、どこに向かって走っていくのかというのは目標設定として大事ですよね。
で、この目標設定をもししないとすると、どういうことが起きるでしょうか。
(大西)
目標設定をしないとすると「今日過ぎればいい」と。
例えば患者が来ないことは、実はスタッフにとってはいいことなんですよね、目標設定をしないとすると。
業務が忙しくないから。
今日少なかったねという話で「まあいっか」と。
この「まあいっか」が続くと潰れるんです、組織って。
だから目標設定をしないと何が起きるかというと「知らないことがいいこと」になる。
(高山)
目標って、実は違う言い方すると「仮説」みたいな言い方もあるかなと思っていて。
今日地域の中でどんな患者さんがどのくらい来て診療にあたれるかということを仮説として持っていないと、今日が少ないのか多いのかということすら判断がつかないということですよね。
(大西)
努力をしてるんだけど、意味のない努力になる可能性が高いですよね、ゴールが決まっていない、目標が決まっていない。
毎日一生懸命頑張っている、でも成果は出ない。
これはスタッフのやる気はどんどん落ちていきますよね。
(高山)
何を成果とするのかというのが目標の設定ですよね。
(大西)
その成果が共有できて初めて同じ山を登れるわけだけど、この言語化するプロセスがすごく大事だと思うんです。
スタッフ発信の目標設定
(大西)
これ最後にしようかなと思うのですが、言い出しっぺもすごく医療では大事かなと思います。
院長が決めてやれは誰も動かない。
自分たちで決めてやるというのは、責任がスタッフにちゃんと降りるんですよね。
自分が決めたことをやった結果として患者が増えたとか。
一方で今度先生が患者を増やそう、だからみんな頑張れって「何を頑張るの?」「どうすればいいの?」ということは先生が考えるんだと思っているから、誰も動かないですよ。
旗は立っているけど道がない、みたいなそんな状態。
(高山)
これ陥りがちというか、もしかしたら標準的なクリニックの姿かもしれないですね。
これをどうやって落とし込んでいくか、一緒に考えていくかにちょっと持っていきたいのですが。
その地域貢献だとしたら、その地域で統計上どのくらいの人が住んでいて、どういう家族構成で、どういう疾患の方が多いのか少ないのかという事実ベースの数値をみんなが入手できたとしたら、
その中で例えば同じ県内に同じようなクリニックが何軒あって、それ均等に割ると必ずこのくらいの患者さんは診なきゃいけないはずであるという仮説が成り立つと思います。
診療圏調査でよくある手法だと思うのですが、そこから一緒に考えていったらどうですか。
(大西)
その時にみんなが知っている疾患にちゃんと落としてあげるというのも大事みたいですね。
どんな病気の患者さんをどれくらいのパーセンテージでエリアから受け入れていくのか。
その時に大体の数字が見えてきた時に、今の数字と比較して何人増やせば標準的なのかということが見えてくると、じゃあ今日は6人増やそうとか、今日は5人足そうとか。
それが決まったら、今度はじゃあどうやって足すという具体的な戦術の話になるので、そこまで行くと大体KPIが決まったようなものですね。
(高山)
先生自身も、診療圏調査を開業時にはざくっとすると思うのですが、開業してからの動向というのはあまり見ないかもしれないですし、感覚値でやっている、
感覚値でだいぶわかるとは思うのですが「まだまだいるはずなのに来ないな」という焦りを、多分頭の中でやっていると思うんですよ。
なんで、うちのクリニックばっかり来るんだろうとなっていれば、違う目標設定が必要になってくると思うのですが。
(大西)
本当に今日はKPIの話なので細かくはしませんが、KPI決めて実際何をやるか決めていくプロセスの中で、多すぎるところと少なすぎるところって必ず起きていて。
多すぎるところはどうやってこの多い患者を捌くかという議論になるし、少なすぎるときはどうやって患者を増やすか、やはり内容が違うわけですよね。
だから自分の今の現在地を知る意味でも、KPI検討をみんなでするというのはすごく大事なんじゃないでしょうか。
(高山)
後半は、科目ごとによって少しKPI設定のコツというか方向性が違う部分あると思うので、そのあたりを1つ1つ見ていこうかなという風に思います。
では続きは次回にしたいと思います。
大西さん、今回もありがとうございました。
(大西)
ありがとうございました。
(高山)
「院長が悩んだら聴くラジオ」、最後までお聴きいただきましてありがとうございました。少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。
新しいエピソードがいち早く届きます。番組への質問、感想もお待ちしています。それではまた、毎週月曜日ポッドキャストでお会いしましょう。さようなら。

医療機関向けの情報発信を行う一般社団法人 DOC TOKYOの編集部門として、クリニック運営・医療業務・医療ITに関する情報を調査・編集しています。
医療機関やサービス提供事業者への取材、公開情報の確認、製品・サービス情報の整理を通じて、医療現場の実務と経営判断に役立つ比較・検討材料を提供しています。
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