クリニックは儲けてはいけない?収支意識のリアル_『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン2_エピソード125全文書き起こし

#125 クリニックは儲けてはいけない?収支意識のリアル

院長が悩んだら聞くラジオ。この番組は開業医の皆さんが機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。悩んでいても、悩んでなくても、通勤時間や昼休みにゆるっと聞いていただけると嬉しいです。

PODCASTエピソードはこちら

(高山)
おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)
おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)
院長が悩んだら聞くラジオ、第125回始まりました。

(大西)
よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

(高山)
今日のテーマは「収支意識」になります。

自走型組織の作り方ということで何回か継続しているんですけど、その続きではあります。

自走型組織に収支意識が必要なのか否か、というところを深掘りしていきたいと思います。

(大西)
儲かっているという言葉をすごく苦手としている医療機関にとって、特に収支意識をどうスタッフに持たせるかは、すごく難しい問題だと思います。

(高山)
業界のタブーに切り込む話になるかもしれませんが、今回もよろしくお願いします。

(大西)
よろしくお願いします。

医療業界における収支意識の現状

(高山)
クリニックの収支意識は、一般の企業と比較して低いと思うんです。

医療機関は公共性もありますし、法に守られているし、診療報酬という全国統一のメニューがあります。

以前に大西さんもおっしゃっていましたが、3割負担というのは7割引きセールを常にしているのと同じなので、患者さんとしてはクリニックに行きやすい環境が整っています。

そのため、あまりクリニックが倒産するとは思われていない感じもします。

病院などはコスト負担があって倒産のニュースもありますが、クリニックが倒産しましたというのはあまりニュースになることがありません。

働く側も患者さん側も、先生側も、あまりそこまでシビアには考えていない感じがします。

(大西)
実際は、ちゃんと倒産しています。

よく言われるのが、1年間に4,000軒ぐらいクリニックが増えて、4,000軒ぐらい閉院しているという話です。

閉院の原因は赤字や黒字の問題もあるし、代替わりがうまくいかない、後継ぎがいないといった色々な理由があると思いますが、

確実に病院と同じように環境は厳しくなっていて、赤字というのは実際に起こり得ることですし、起きている。

これは事実ですね。

(高山)
4,000軒が閉院していくのは引退が多いのかなと思いますが、その中には赤字倒産が含まれているということですね。

今、東京商工リサーチのニュースを見ていますと、クリニックや歯医者さんの淘汰が加速していて、破産が多くなっている。

この20年で最多の71件あったと。

クリニックが32件、歯科医院が31件と、ほぼ半分ずつですね。

倒産原因は、主に患者の減少、診療報酬の改定で収益悪化に歯止めがかかっていないということです。

(大西)
診療報酬の改定をずっとウォッチしていると、昔とは違うんです。

これまでは3割負担で患者さんは治療が受けられましたが、厚生労働省は高齢者の3割負担を進めたいので、給料のある人は3割負担にしましょうという話も出ているし、

高額療養費制度ももうちょっと上げようという制度にしているから、患者負担が確実に上がる施策を国はとっているわけですね。

そうすると、患者負担が増えると患者は確実にクリニックに来なくなります。

患者数が減って赤字になるというのは、もうあり得る時代です。

スタッフと院長の意識の乖離

(高山)
クリニックに就職してくるスタッフの方々は、まさかこれからお世話になるクリニックが倒産するとか、今赤字経営になっているとは考えないですよね。

(大西)
専門学校で説明する時にその話は一回も触れたことがないですね。

クリニック経営とは、なんて勉強はしないので。

少なくとも医療事務のスタッフは診療報酬に関わっているくせに、経営には全然ノータッチというか。

そこは面白い話というか、メニューの勉強はすごくするんだけど、クリニック全体の経営的な説明は全くしないので、多分黒字と赤字がなぜ起きるかもわかっていないんじゃないかなと思います。

(高山)
クリニックを開業する時ってすごくお金がかかるじゃないですか。

先生が自分の信用で銀行から融資を受けて、いわゆる借金をして開業する。

内科だと5,000万から1億ぐらい借り入れをしてやるのが一般的な形だと思うんですけど。

(大西)
その辺りですね。

(高山)
基本的には借金を抱えて開業します。

開業してすぐに患者さんが埋まるわけではないので、半年か1年ぐらいは赤字が続きます。

患者さんが増えてきてようやく単月黒字という、月ベースで考えると黒字になったということを迎える。

やっと利益が残っているなと思っても、全部借金返済に吸われてしまうので、稼いでも稼いでもお金が貯まっていかない。

それが2年から3年、長いと5年ぐらい続くのが先生の開業の形だと思うんです。

そこに新規開業の時にスタッフが来ますが、スタッフはそんなこと全然考えていません。

先生も「そんなこと気にしなくていいよ、経営は私の仕事だから」と割り切るんだと思うんですけど、実際それがずっと続いていって、

スタッフが患者さんを遠ざけるような接遇をしていたり、取りこぼしが多かったりするのを放置していると、収支意識ってやっぱり欲しいよねとなっていく気がします。

返戻・査定と収支意識

(大西)
返戻(へんれい)率とか査定率と僕は呼んでいますけど、例えばレセプト点検がズルズルだったりすると、当然利益がそのままマイナスになる、もう収入が減っているわけですよ。

3%収支がマイナスになると、97%しか売り上げが入ってこないので、当然利益圧縮になります。

その時にレセプト点検にかかる残業代というのも、あんまりスタッフは気づいていないですよね。

残業代の方が多いなら意味がないわけですよ。

(高山)
もう、点検をしない方がいいと。

(大西)
3%削られちゃってもいいから残業しないでくれというケースもあり得るし、システム導入してそこを外に点検を出すというのもあり得るんだけど、

本人たちは一生懸命働いているので、「こんなにレセプト点検しているのに」「残業しているのに」という気持ちの方が強く出てしまうので、この収支意識を伝えるのがなかなか難しい。

「頑張るな」と言っているみたいになっちゃうんですよね。

(高山)
すごくギャップがありますね、この意識は。

(大西)
主従関係で言うと、主(しゅ)は上から見て従(じゅう)は下から見るから、自分の目の前の仕事を全うすればいいというのがこれまでのクリニック経営。

これまでのテーマで話しているのは自走型組織なので、できれば先生もスタッフも一緒に走れる組織で考えると、やっぱりそこにギャップを埋める努力はいるんじゃないかなと思います。

自走型組織としての目標共有

(高山)
自走型組織はどこに向かって走っているんだろうかというのが、スタッフと院長でバラバラだったら、それは到達しないですよね。

(大西)
旗を立てて道を作って、さあスタートなのに逆走する人がいるわけですよ。

旗が見えていないから。

(高山)
旗がここだよというのも、多分伝えていないと思うんです。

医療の使命としては皆共通のものを持っていると思うんですけど、「このクリニックではこういうことを目指していきますよ」とか、

「患者さんは向こうから来るものではあるけれど、我々のキャパだと何人までは見ていくことができるから、せっかくの箱なんだから生かしていこう」とか。

「1日80人とか100人は余裕で見れるから、1日40人だと少ないと思ってね」というような意識は必要だなと思います。

(大西)
混んでくると皆疲弊する、空いてくると楽ができる。

このプロセスで考えると、患者が少なければ少ないほどスタッフはいいわけですよ。

(高山)
心地いいですよね、「こんなに暇なのに給料一緒だ」みたいな。

(大西)
そこが大間違いだということを伝える勇気ですよね。

(高山)
これは伝えないといけないんでしょうけどね。

(大西)
医療ではタブーだったんです。

(高山)
「儲ける」とか「ビジネスチック」になることをすごく嫌います。

(大西)
色々なビジネス系の研修に行きますが、医療機関の先生たちがそこにいつも苦しみを感じています。

「稼いでいいんです」「儲かっていいんです」といかに儲けるかが目標だから。

理念が違うというか、原理原則みたいなところが違う。

理念追求型な組織が医療で、仕組みをどううまく作るのかというのがビジネスだとすると、そこに差があるのかなと思います。

(高山)
ビジネスは儲けがないと悪になってしまいますからね。

(大西)
続かないですからね。

一番まずいのは、社会にとって潰れてしまうことなんです。

その原因が赤字だとするならば、赤字を防ぐことを原理原則としてやることは合っているんだけど、それがなぜかタブーだった。

今となっては不思議な感じがしますけど。

(高山)
確かに今まではクリニックはどこにでも開業できましたし、今は地域が限られてきたり、開業できるエリアが削られてきているので、開業した時点で必要な施設なんです。

社会にとって、絶対に潰れちゃいけない。

その損益分岐点だったり仕組みみたいなのを、先生だけが抱えて税理士と会議しているのではなく、スタッフも巻き込んでやっていくというのが今後主流になっていくと見ていいんでしょうか。

(大西)
これまでは御前会議のように税理士さんが月に一回来て、経費の処理と毎月の売り上げ推移やコストの推移を見て、単月黒字とか累積赤字といった話を、院長と院長夫人が聞いてきた。

そこにスタッフが関わることはほぼ100%なかった。

僕は、今後はそれ(税理士との会議)はそれでいいと思うんですけど、そこからどう院長が自分の言葉でスタッフに伝えるか。

これは必要な時期に来ているんじゃないかなと思います。

(高山)
前半に関しては、収支意識がスタッフと院長でだいぶ乖離していますねというお話でした。

後半に関しては、具体的なクリニックの収益構造がどうなっているのかを一緒に深掘りしていきたいと思います。

続きはまた次回にしたいと思います。
大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)
ありがとうございました。

(高山)
「院長が悩んだら聴くラジオ」、最後までお聴きいただきましてありがとうございました。少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。

新しいエピソードがいち早く届きます。番組への質問、感想もお待ちしています。それではまた、毎週月曜日ポッドキャストでお会いしましょう。さようなら。