クリニックの収益構造をスタッフに伝えるべきか?_『院長が悩んだら聴くラジオ』シーズン2_エピソード126全文書き起こし

#126 クリニックの収益構造をスタッフに伝えるべきか?

今回のトーク

  • 売上は「患者数×単価」で決まる
  • 待ち時間が、患者を逃す最大の敵
  • スタッフは知らない診療報酬の平均単価
  • 家賃、人件費、固定費、消費税のリアル
  • もうタブーとは言っていられない、経営の話
  • スタッフを守るためには収支の開示が必要

院長が悩んだら聞くラジオ。この番組は開業医の皆さんが機嫌よく過ごすための秘訣を語っていく番組です。悩んでいても、悩んでなくても、通勤時間や昼休みにゆるっと聞いていただけると嬉しいです。

PODCASTエピソードはこちら

(高山)
おはようございます。パーソナリティのDOC WEB編集長、高山豊明です。

(大西)
おはようございます。パーソナリティのMICTコンサルティング、大西大輔です。

(高山)
院長が悩んだら聞くラジオ、第126回始まりました。

(大西)
よろしくお願いします。今日のテーマは何でしょうか?

(高山)
今日のテーマは、前回の続きで、クリニックの収益構造を具体的に深掘っていきたいと思います。

(大西)
前回は、収支意識をどうスタッフに伝えるかという話をしました。

その中で、僕の一つのキーワードは「どう伝えるか」が結構大事だなという時に、そもそも収益構造を明確にし、それをスタッフに伝わりやすい言葉で伝える。

これが必要なのと、もう一つ加えるならば、環境変化なんかもちゃんと足してあげたほうがいいでしょうね、クリニックを取り巻く環境の変化。

(高山)
外部環境ですね。

ぜひそういったところを共有できるように、今日情報提供をしていきたいと思いますので、今回もよろしくお願いします。

(大西)
お願いします。

クリニックの収益構造の基本

(高山)
では、具体的なクリニックの収益構造について見ていきたいと思います。

収益というのは、収入による利益ということになるわけですけど、一番簡単な収益の公式を教えてください。

(大西)
患者の数かける診療報酬、これが、いわゆる売上。
診療報酬単価、平均単価となりますかね。

それから、組織を運営するための費用として、いわゆる固定費と変動費を引いたものの残りが利益、収益と呼ばれます。

(高山)
収入から費用を引くと収益になります、利益になりますというのが基本的な考え方です。

これ、もう少し分解していくと、どうなるんでしょうね。

患者数の分解と離脱の要因

(大西)
患者の数って分解すると、新しく増える患者、あと既存の患者、あと、いなくなった患者、この三つから計算しますね。

(高山)
新規、継続、離脱みたいな感じですかね。

(大西)
そうです。
それの、毎日毎日の差し引きが患者数にあたるので、当然離脱率が高ければ、患者が増えてるようで増えていないっていうのがわかる。

あと、最近言われてるのは、これの回転数率。

いわゆる1年間の間に患者が何回来るかっていうのも考慮しなきゃいけない。

(高山)
継続する患者の中で、頻度ですね。

(大西)
頻度ですね。

例えば、生活習慣病の患者は毎月来るとか、風邪の患者は季節ごとにしか来ないから年に1回とか。

そういうふうになると、この実数の患者数が見えてくるという感じですね。

(高山)
結構細かく分類するわけですね。

(大西)
そうです。
ただ、その時にヒントが出てくるので、新規を増やすのか、離脱を減らすのか。

実は離脱を減らすほうがやりやすかったりして、新規増やすほうが難しいんですよね。

(高山)
やっぱり認知をしてもらって、具合悪い時に行こうかなって思ってもらわないといけない。

結構ハードルがあって、かつ同じ地域に似たようなクリニックがあると、どっちにしようかなで分散しますもんね。

(大西)
そう、だから、その時に外部要因として競合他院が出た時に離脱が増えるわけですよね。

(高山)
継続してた人の離脱も増えるし、新規率も下がってくるということですね。

(大西)
下がるってことですね。

だから、これに合わせて患者の数というのは、外部要因もかなり影響するよねっていうのと、内部要因としては離脱をどう減らすか。

いわゆるサービスレベルの向上となりますね。

(高山)
例えば、生活習慣病だと毎回来るっていうのが自然かと思うんですけど、風邪引いた時って健康な人がですね、風邪引いた時って、その時すぐ行ける場所に行きがちだと思うんです。

なので、この前はこの風邪の時にあそこ行ったけども、今日はこっちのほうが空いてるからこっち行こうみたいなことって、結構自由に行われてる気がするんですけども。

そういった患者を「やっぱり風邪引いた時はこの先生に行こう」みたいにかかりつけ医的に頼ってもらうためには、ちょっと話ずれるんですけど、何かポイントってあるんですか。

(大西)
待ち時間です。

(高山)
待ち時間。

(大西)
待ち時間を劇的にゼロに近づければ、絶対離脱はしないです。

(高山)
離脱する理由は待ち時間に比例するということですね。

(大西)
そうです。
だから患者の数が増えてくると待ち時間が増える。

これは新規を減らす要因になるんです。

(高山)
複雑ですね、結構。

(大西)
そうなんです。
だから、そこが待ち時間がなぜ増えるかはシステム構造だったりするケースが多いんですよね。

診察が長いとか、受付が煩雑だとか、お会計が遅いとか。

いろいろ分解できるわけだけど、そこをちゃんと突き止めないと、待ち時間って減っていかないんですよね。

診療報酬単価とスタッフの意識

(大西)
で、その時に、この話はこれぐらいにしますけど、あと、もう一つは診療報酬も分解しなきゃいけなくて。

いわゆる平均単価ですね。

患者あたり平均単価が高い低いというのは、診療報酬改定にも影響しますし。

例えば、収益構造で言うと、院内薬局か院外薬局でも当然単価は違うですし。

で、さらに言うならば自由診療してるかしてないかも診療報酬プラス検討しなきゃいけないし。

で、その時に、もう現場ではどんな話をするかっていうと、だいたい患者平均単価いくらぐらいだよねっていう話をすると、じゃあ平均単価どう上げるのっていうのも収益構造のメカニズムでは重要なのかなと思いますね。

(高山)
診療科目によって、また設備によって診療報酬の平均単価っていうのは、それぞれクリニックによって変わってくると思うんですけども。

スタッフのほうは多分その単価がいくらな平均いくらだな、みたいの考えないですね。

(大西)
考えないです。
だから「なんで先生、検査こんなにするんだろう」とか思ったりするわけですよ。

(高山)
なんか余計な検査してんじゃないの、みたいな。

(大西)
そうそうそう。どうしても患者さん目線なんですよね。

(高山)
確かにそれありますね。

患者からすると、それはありがたいことなんですけども。
院長からすると、どっちの見方やねんみたいな話ですかね。

(大西)
例えば、飲食店で考えるとわかりやすいですけど、サービスするっていうのは、すごく飲食店としては赤字を出す理由ですよね。

例えば、大盛り無料、おかわり無料。

でも、これは、患者サービスとしてやってるわけですよね。

医療機関もそれをやっちゃうと、どんどん無料になっちゃうと、単価は下がっていくわけですよね。

(高山)
唯一無料でできるサービスは接遇だったりとか、気遣いみたいなところですね。

(大西)
ただ、検査を無料でやってるところも、やっぱあるんですよね。

(高山)
あ、そうなんですね。

(大西)
この検査は診療報酬で請求しても通らないから、とりあえず無料でやってあげようっていうのも、やっぱ実際起きていて。

ただ、それを患者に説明しないから、患者は嬉しいとも何とも思ってないんですよね。

(高山)
ありがたいと思ってないですよね。

(大西)
だからわかってないんですよね。

(高山)
報酬に含まれてんのかな、みたいな感じにしか思わない。

(大西)
スタッフさんからすると、なんか無駄な検査してんじゃないか、無駄な薬出してんじゃないかとか、なんかそのへんが先生がよかれとやってることも伝わらないっていうのも、この診療報酬単価、平均単価に影響してるのかな。

費用構造:固定費と変動費

(高山)
今売上のほうを見ましたけども、費用のほうはどうでしょうか。

(大西)
費用のほうは、固定費って絶対かかるお金と、毎月毎月変動する費用と分けて考えると。

家賃とか光熱費とか人件費っていうのは、まあ固定費と考えてもいいでしょうね。

(高山)
家賃大きいですよね。

(大西)
大きいです。
大きいですし、クリニックモールとかだとかかなり家賃高いので。
やはり家賃高いですね。

その次に最近水光熱費が劇的に上がってきてるし、人件費も上がってきてるし、コストアップの構造。

で、最近システム関連費っていうのがやっぱ上がってきてるんですよね。

(高山)
なんでもクラウドですからね、今は。

(大西)
そうなんです。
サブスクなので。
サブスクが積み重なっていくと、結構な費用になると。

それ以外に月に仕入れたりするものっていうところで言うと。

備品系もよく現場で言うんだけど、備品を大事にしてねっていうのは言うわけですよね。

ボールペン1本コストですよって。

でも言わないクリニックのほうが多い感じもするかな。

(高山)
他にもネットの回線費だったり、普通の固定電話費だったり。

あと、ホームページを維持するサーバー費用だったりドメイン費用だったり。

あと、求人広告出すとか。

あとは保険関係も結構大きいと思うんですよね。

(大西)
結局先生たちって自分にもかけてるし、クリニックにもかけてるわけですよね。

だから、自分が倒れた時の保険かけてるし。

当然先生頼りなっちゃうと休診になるから、その間のスタッフの賃金払わなきゃいけないんで、それは保険として入りますよね。

あとはクレームもらった時とか、訴えられた時の保険も入ってるし。

(高山)
医師賠償保険とか、施設賠償も場合によってはあるかもしれないですし。

(大西)
そう。
だから、そういうふうに保険って自己防衛というか組織防衛の一環なので、やっぱりかさむし。

中には保険以外にも退職金積立なんてことをやってる医療機関もあるので、そんなのもやっぱりコストですよね。

(高山)
あとスタッフ雇えば、もちろん長く働いてもらうんだったら社会保険料とか雇用保険とか労働保険とか、様々な目に見えないところでの費用っていうのは結構あるんですよね。

(大西)
それが、僕もサラリーマンの時は気づいてなかったけど、社会保険料っていうのが会社側と自分と両方払ってるわけだから、とんでもない金額であることに気づくわけですよね。

そんなことを細かく計算していくと、こううまく細かくスタッフに伝えるかっていうのは、ちょっと微妙な話だけど、コストがかかってることは伝えてもいいんじゃないかなと思いますね。

(高山)
あと税金ですね。
消費税をバンと払わなきゃいけないの結構大きいと思いますね。

(大西)
これも結構医療機関の中でも問題が、患者からは消費税もらえないけど、我々医療機関側は払わなきゃいけない。

ここに差がある、で、その差が広がってきてるっていうのが、結構今の問題なんですよね、コストアップする。

(高山)
消費税負担は本当つらいですよね。

(大西)
だって、消費税アップっていうよりは、コストアップしてるから消費税当然上がるんです、比例しちゃうから。

なのに、2年に1回しか改定しないんで、売上はそんな順調に毎年毎年上がらないわけですよね、なんなら下がってきてるから。

患者から消費税もらってもいいんじゃないかなんて議論も、やっぱされてるわけですよね。

(高山)
やはりすべてはこう継続してクリニックが維持できる、そのための収益構造をみんなで考えていくっていうのは、すごく大事です。

社会環境の変化とこれからの経営

(大西)
本当に僕クリニックに行ってスタッフとワークする時に結構ポイントとしてあるのは、これまでタブーと考えられてきたことに対して、やっぱり向き合わなきゃいけない。

で、その向き合う時に、いかにこう単純化シンプル化するか、すごく大事。みんなの身近な話にする。

これはワークショップとかでも、皆さんよくやるのは「クリニックを皆さんが経営者として運営するならば」という話をしてモデルを作っていくんですけど。

(高山)
難しいですよね。

「経営に私、興味ないから働いてるんですけど」みたいな人もいますからね。

(大西)
そこ結構大事ですよね。

何度も繰り返しになるけど、開示するということは経営に関与してくださいってお願いをしてるわけではない。

収支意識を持つっていうのは、経営に関与してほしいと思ってるわけじゃなくて、経営意識を持って主人公意識を持ってクリニックの運営に関わってほしいだけであって。

あなたに経営任せるよとは思ってない。

このへんがうまく伝わらないと、「なんで先生こんなこと言うんだろう」とか「なんか最近お金のことうるさいよね」とか思い出すわけですよ。

急に苦しくなったから言ってんのかなみたいな、なんかケチだよね、みたいな。

もうそういう声が聞こえてくるわけです、心の声が。

(高山)
言われたくないですね。

(大西)
だから先生嫌なんですよ、経営の話するの。

(高山)
経営の話をしだすと、なんかそういう知識がなかったり当事者じゃないのにそういう声が出てくるっていうのは面倒ですよね。

(大西)
知識がない人ほど、内部留保ってなんか先生貯めてんじゃないかなって、やっぱ思うわけですよね。

あとは、こんな賃金安いくせに何言ってんだ、みたいに思ってる人もいるわけですよね。

だから、非常にマイナスに振りやすいので、これまでタブーだったんだろうな。

(高山)
ただ、そう言っていられない社会変化がありますよね。

(大西)
皆さんご存知のように、高齢化少子化という問題が医療費増大に一気に進み、毎年1兆円ずつ医療費が増えている中で、厚労省は50兆、60兆と増えるわけにいかないので、やっぱ頭打ちをしたい時に考えたわけですね。

どうやったら医療費は増えないか。

結論は患者を減らすってことです。

で、患者を減らす方法は、例えば薬だけもらいに来る患者とか、軽症なのに病院行っちゃう患者とか、あとは本当は来なくていい人が来てる。

まあそういうとこガンガンメスが今入ってきてるわけですよね。

それがまあOTC類似薬の範囲拡大。
まあ簡単に言うと、最近もう高血圧の薬もOTCにしようかなっていう話も出てるから。

(高山)
大きいですね、それは。

(大西)
だから、それも一つあって。

クリニックで処方箋もらって、いわゆる3割負担になる薬と、処方箋がなければ10割負担なので、割引セールがなくなるわけですよね。

その割引セールがない薬を増やしていこうとしてるわけです。

そうしたほうが、ちょっとアメリカチックになってきてるかな。

(高山)
少しずつそういうふうにしないと、国の財政が成り立たないっていうのもありますし。

あとは、世界的な流れからすれば、病気にならない生き方、予防、未病、健康でいようっていうのがやっぱ主流になってくるので。

あとは人口動態を見ても人口減少していくわけですから、そういう意味では患者の意識も高まり、そもそも人口が減っていくので、患者は増え続けるわけじゃないよねっていうのはもう明らかですね。

(大西)
患者が増えないのにコスト下げないわけにはいかないから、やっぱり開示がいるんだと思いますね。

(高山)
もうタブーに切り込まないといけない時代になっちゃったってことですね。

(大西)
そう。
だから、患者が増えず単価が上がらず、なのにコストだけが上がる。

それをちゃんと先生が腹割ってスタッフと話し合う時に「あなたたちの給料を減らしたいわけではない。あなたたちの給料を逆にこう、キープするというか、継続的に雇用するために、一緒に考えてほしいんだ」という立て付けかな。

(高山)
あわよくば、増やしたいんだよと。

(大西)
このあと、また次回にでも話したいけど、目標設定の時にこの話をしてから目標設定したほうが自走しやすい組織なんだと思いますね。

やっぱ自分で走るっていうことは道迷うんです。

だいたい私たちもそうですが、Googleマップがあるから迷わないわけだけど。

Googleマップでさえ逆走する人もいるわけじゃない。

(高山)
読みかたが正しくないと間違っちゃいますね。

(大西)
そうするとたどり着けない。

(高山)
そもそもゴール設定が間違ってると、たどり着いたと思っても、そもそも違いましたよって話になりますからね。

(大西)
そう、で、その時に、今日の患者の数が目標、1年間の患者の数が目標、新規が目標、なんて言っても「なんで?」ってなる時に、この収支構造の話を先にやっとくと、「なるほど」と。

我々の売上を上げなければ私たちの給料は増えない。

じゃあ売上を上げようじゃないか、じゃあ患者を増やそうね、単価を上げようね、自由診療やろうね」ってなるための助走期間が、この一番やりたくない仕事なんだと思います。

(高山)
ということで、次回に関しては自走型組織どこに向かって走るのか、その目標設定の仕方とか、いわゆるKPIって言われるようなプロセス管理だったり目標設定の自走の仕方ですね、

みんなが目標に向かって走っていけるような具体的な施策について話していきたいと思います。

ということで、続きは次回にしていきたいと思います。
大西さん、今回もありがとうございました。

(大西)
ありがとうございました。

(高山)
「院長が悩んだら聴くラジオ」、最後までお聴きいただきましてありがとうございました。少しでも気に入っていただけましたら、番組のフォローをぜひお願いします。

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